エイブリー・フィッシャー・キャリア・グラントという言葉は、一般の方々にはちょっと聞き慣れないかも知れません。優れた若手演奏家(もしくは室内楽団体)に、ニューヨークのリンカーンセンターから贈られる賞です(念のため付け加えておくとニューヨークで最も有名なコンサートホールの一つです)。
賞金2.5万ドルというから300万円ぐらい。著名な国際コンクールで優勝するかそれ以上の賞金ですよ。コンクールのように極度に神経をすり減らして得るものとは異なっているので、楽っちゃ楽ですけれど(?)そうそう貰えるものではありません。やっぱり楽ではありません。
過去の受賞者ピアニストはと言いますと、最近の人から見ていくとユジャ・ワン、キリル・ゲルシュタイン、ジョージ・リー、ジョナサン・ビス、イノン・バルナタン、アワダジン・プラット(←なつかしい・・)、フレデリック・チュウ(←なつかしい)とか、結構なお名前が並んでいます。
そうです、名誉な賞です。ただし、賞を貰ったからと行って将来が約束されているわけではないということは気をつけないといけません。有名になる、有名になって名声を維持する、名声を高めていく、ということの難しさは本当に感じ入ります。
この賞の、過去の受賞者全員のリストが公式サイトに掲載されていますからご覧になって頂ければよいでしょう。大変失礼ながら、「知らないな」「知らねえよ」という名前もたくさんありますから。賞をもらうまでもたいへん、もらってからも大変、それがピアノの世界。
今年はハオチェン・チャンが受賞したというニュースが流れてきました。そうか・・・ハオチェン・チャンか・・・・。皆さんは辻井伸行さんの事はご存知でしょう?ヴァン・クライバーン国際で優勝し一気に世界的に有名になった盲目のピアニストです。
同じ回のヴァン・クライバーン国際コンクールで同時に優勝したのがハオチェン・チャンなんですよ(つまり優勝者が二人いた)。辻井伸行のその後の活躍は日本でもすごくよく知られていますし、各地のコンサートも完売が続出すると聞いています。ロンドン在住のあるピアニストが、「ツジイは素晴らしいピアニストだよ!」と絶賛したのを聞いたことがあります。(「ただし自作を除けば!あれはひどい!やらない方がいい!」というおまけの一言もついていましたが。)
それに比べてハオチェン・チャンはちょっと活躍が地味だと言わざるを得ませんね。素晴らしい技術を持っているのですが、見た目も地味だし・・・。なんというかこう、ふつうのお兄さん、という感じ。見た感じで損をしているかな、、、?Kajimotoが日本には呼んでいますが、あまりぱっとしません・・・。集客もぱっとしないかもしれません。
有名になることの難しさ、つくづく感じ入ってしまいます。
ハオチェン・チャンがんばれ!!!