ミュージカル・アメリカという、いわば業界情報瓦版みたいな情報誌がありまして、アメリカに。そこがダニール・トリフォノフをアーティスト・オブ・ザ・イヤー2019に選出しました。
https://www.musicalamerica.com/news/newsstory.cfm?storyid=41362&categoryid=3&archived=0
何の不思議もないよね。すごい活躍してますもんね。もちろん嫉妬ややっかみからトリフォノフのことを悪く言う人もいますけれど、根本的にめちゃめちゃ才能あると思いますよ。ミュージカル・アメリカの、このページを読んでいて、やはり飛び出た才能は世の中が放っておかないんだねと思いました。
そもそもグネーシン音楽学校(キーシンとかも学んだ子供のための学校。やがてモスクワ音楽院に進む、というのがロシア人若手ピアニストのいわば王道コースとでも言いましょうか)で学んでいたトリフォノフが、先生のゼリクマンに勧められて、セルゲイ・ババヤンのところに学びに行くことにしたそうです。
当時ババヤンはクリーヴランドで教えていました。どうやらアメリカでもクリーヴランドというのは音楽教育のどセンターというわけではないみたいなので、どうしてクリーヴランドなの?どうして私のところに勉強しに来たいと思っているの?とババヤンは尋ねたそうです。
「自分の先生を信頼しているから」というトリフォノフの回答は、いたくババヤンの心に残ったようです。
その結果、ババヤンとトリフォノフはよき教師、生徒となっていた、というのです(今でもトリフォノフはババヤンのことを深く信頼していると聞いています)。そしてクリーヴランド音楽院に入るにあたり、少額の奨学金を既に得ていたそうですが、ババヤンは学長のところにトリフォノフの録音を持っていき、聴かせたそうです。そして、ショパンのバラード第4番を1ページ分聴いたところで学長が「全額奨学金だね」と言った。
いい話ではないですか。
いやはや、こうやって物事が進んでいく。才能は世の中が放っておかないって素晴らしすぎる。世の中も捨てたもんではないですね。それにこの学長の即断即決というのも素晴らしいではないですか。これが日本だともしかすると、えーと、あの人とあの人に話しを通して、根回しをして、皆さんの了解を得て、それからだね。あるいは、この教授を立てるとあの教授が機嫌を損ねるから、すぐ全額とはいかないけれどまずは試験で演奏させて全員の反応を見て、、、とかいうまわりくどいことになるのかもしれません。だからだめなんだよ!!!
あれ、話がずれてきましたね。(しかも日本のケースは勝手な想像にすぎない。)
ともかくトリフォノフはこれからも成長をしていってほしいです。ぱっとスターになってそのまま腕は下降線をたどり、名声だけはうなぎのぼり、という最悪のケースにだけはなってほしくない。一歩一歩のぼって行くことに期待。