アンドラーシュ・シフのインタビュー記事がテレグラフ紙に出ていました。
面白かった点を何個かご紹介します。
バッハを暗譜で弾くことについて「能力を見せつけたいからそういうことをするんだろうという人がいますが、聴衆との間にバリアが出来るような気がするから、ただそれだけなのです。」 という回答。
ここからわかることは、少なくともシフが住むイギリスにおいてはバッハは楽譜を見てひいてよいという風潮ができつつある、ということではないでしょうか。良いことですね。人の記憶力なんて頼りにならないのだから楽譜は見て弾いたほうがいいに決まっています。・・・でもシフはそれだと聴衆とのあいだに距離が発生すると言っているんですよね。感覚としてたしかにそれも分からないでもないですが、単なる慣れの問題のようにも思う、、、のですがどうかな。
次はプロムスのこと。ロンドンの巨大なホール、ロイヤルフェスティバルホールで開催されるこの夏の一大フェスティバルは、若い人も老人も客としてきているのがすごい、と言っているんですがそれに続けて「でも通常のコンサートには若い人はこない」と言っています。
悲しいですがまあこれがクラシック音楽の現実です。(ラ・フォル・ジュルネも、フェスティバルとしての性格は違うが似たような事になっていますよね。)世界的にクラシック音楽のコンサートの聴衆は高齢化している。シフによりますと「例外は韓国と中国、ここは熱心な若者たちがたくさん来ている」と言うことです。日本がない、ということは日本の聴衆も高齢化している、という間接的な証言がまたひとつ、演奏家から提出されたわけであります。
最後に、シフは最近指揮もしていますが、トスカニーニの時代のように怒鳴ったりする時代はもう過去のものだと言っています。このところ日野皓正さんのビンタ事件が話題になっていることからもわかるように、いまや現場での暴力は、身体的なものであれ、言葉のものであれ、認められない時代なのであります。
以上、シフのインタビューを読んでねもねも舎ブログ担当が本日考えたことでした。