イゴール・レヴィットは快進撃を続けているピアニストですね。いま最もノっている
ピアニストを挙げなさいと言われればダニール・トリフォノフとイゴール・レヴィッ
ト、の二人の名前がまず出ますでしょうか。いわゆる王道的な道を進んでいるといってもいい2名。
で、そのレヴィットが受賞しましたと。また一つ賞を。ロイヤル・フィルハーモニック協会の器楽賞です。
受賞者紹介のページはここ
https://royalphilharmonicsociety.org.uk/awards/rps_music_awards/latest-winners/2017-instrumentalist
授与にあたってのコメントは以下の通り:
“The scale, quality and conviction of this musician’s work over the last
year has been breath-taking. He has brought the same depth of musical and
intellectual engagement to every concert – whether concluding a cycle of
Beethoven sonatas at London’s Wigmore Hall; performing the complete
Shostakovich Preludes and Fugues at Birmingham Town Hall; or opening the
BBC Proms. This is an artist who never takes the easy option, who is not
afraid to challenge audiences and who is fully engaged in the world. The
2018 Instrumentalist Award goes to Igor Levit.”「スケールの大きさ、質の高さ、昨年の説得力ある音楽活動は息をのむほどだった。音楽の深み、知的なアプローチが、ロンドンのウィグモアホールでのベートーヴェンのソナタサイクル、バーミンガムタウン・ホールでのショスタコーヴィチの前奏曲とフーガ、あるいはBBCプロムスのオープニングコンサート、いずれにおいても見られた。イージーな方向に流れることは決してなく、世界中の聴衆に挑戦することを畏れない。2018年の器楽賞はイゴール・レヴィットに授与されます」
https://royalphilharmonicsociety.org.uk/awards/rps_music_awards/latest-winners/2017-instrumentalist
ロイヤル・フィルハーモニック協会って何なのという方も多いでしょう。というか日
本ではほとんど知られていないと思います。知っている人はかなりのオタクだと想います。でもWikipediaに日本語の項目があるから、ご存じの方はご存じな
のです。当たり前だけど。
そもそもは1813年からあるらしいんですよこの団体は。何をする団体だったのかと
いうと
The Society’s aim was “to promote the performance, in the most perfect
manner possible of the best and most approved instrumental music”.「コンサートを開催すること、可能な限り完璧なマナーにもとづき、最高の器楽音楽
のコンサートを実施する」
https://royalphilharmonicsociety.org.uk/rps_since_1813/rps_history
とかいうような感じだったのでそうです。この団体はベートーヴェンをロンドンに招
聘しようとし、それが健康上の理由で無理とわかったら交響曲の作曲を依頼したので
すね。それによってあの「第9」ができたわけです。
そういう歴史ある団体なんですよ。そこが30年前から音楽賞The Royal
Philharmonic Society Music
Awardsを作って毎年受賞者を出しているんですよ。これまでの器楽部門の受賞者リス
トはこれ。
2016 James Ehnes
2015 Daniil Trifonov
2014 Colin Currie
2013 Patricia Kopatchinskaja
2012 Steven Osborne
2011 Maurizio Pollini
2010 Leon Fleisher
2009 Stephen Hough
2008 Janine Jansen
2007 Imogen Cooper
2006 Michael Collins
2005 Anthony Marwood
2004 Pierre-Laurent Aimard
2003 Mitsuko Uchida
2002 Paul Lewis
2001 Thomas Trotter
2000 Piotr Anderszewski
1999 Leif Ove Andsnes
1998 Graham Johnson
1997 Murray Perahia
1996 Julian Bream
1995 Itzhak Perlman
1994 András Schiff
1993 Iona Brown
1992 Steven Isserlis
1991 Geoffrey Parsons
1990 Evelyn Glennie
1989 Håkan Hardenberger
なるほどなあ。