プロコフィエフの日本滞在中の日記

プロコフィエフが日本に滞在したことがある。ご存じでしたか。私も知ってはいましたが、あまり具体的にそれについて深く考えた事はありませんでした。

日本にいた時にきいた音楽がピアノ協奏曲第3番の終楽章のテーマになっているということは、みなさんご存じですよね?知らない?知らない方、では終楽章をここでお聞きください。せっかくなんでプロコフィエフ本人のピアノ演奏で。

ね。『越後獅子』の旋律だそうですよ。

しかし「プロコフィエフ短編集」という奇妙な本を見つけて、手に取って開いたところ、巻末に日本滞在の時の日記が載っているではないですか。素晴らしいものを見つけてしまったと一人ほくそ笑んでしまいました。いや、ファンの方なら当然ご存じなのではないかと思うのですが。『プロコフィエフ短編集』、群像社から翻訳が出ていました。

ロシアでも最近になって出版されたのだそうです。短編自体もまあまあおもしろく拝読させていただきましたが、それよりも日記の方が数段おもしろい。いや格段におもしろい。

ぜひみなさん、読んでみてください。短編よりも日記、です。プロコフィエフは詳細な日記を残していたそうです。ロシアでは全文が出版されていて読めるそうなのですが、この本では日本滞在に関わる部分だけを抜き出してくれている!

敦賀から入り、大戦景気に湧く東京滞在をお楽しみになった模様。1918年なので、すでにエスカレーターやエレベーターも登場していた頃です。モダンな東京を満喫していただけたようで、うれしい限りです。

日本人には西洋音楽はわからない、ので演奏しても張り合いがないみたいな事が書いてあったり(これは今でも、時折言う人がいます)、ドビュッシーをこけにしていたり、アルベニスやグラナドスの作品を中身が薄く技術が青っぽいと言ってみたり、辛辣です。レーガー、ラヴェル、メトネルの作品はとてもいいが、自分の方が上、と書いているあたりもとてもいいですね。さすがプロコフィエフ、そうこなくては!