ピリスが今シーズン限り?での引退を宣言したとかで、ピアノ界隈に地震が走っています。
http://slippedisc.com/2017/10/major-pianist-calls-time-on-her-career/
ヤフーのリアルタイム検索で「ピリス」と入力した結果:
https://search.yahoo.co.jp/realtime/search?p=%E3%83%94%E3%83%AA%E3%82%B9&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa
ポルトガルを代表するピアニストで、73歳。まだ若いんでないの、という声も聞こえて来ています。
確かに若い。ピアニストは生涯現役を貫く人もいまして、日本にも90を越えてなお演奏する人もいます。超高齢ピアニストということではメナヘム・プレスラーももうすぐ日本で演奏する予定になっていますね。
しかし控えめに言って、ピリスの引退宣言はなかなかインパクトがあるのではないでしょうか。現役で最も高く評価されるピアニストの一人ですからね。
理由がビジネスに飽き飽きした、というような事のようですが、もともと田舎で隠遁者のような生活をしている、というもっぱらの評判でしたから、そういう理由が出て来るのも理解できるかなと思います。
ねもねも舎はピリスと出会った経験はありませんが、会ったことのある人から噂は聞いていて、ビジネスで会いに行ってもなかなか会ってくれない、とか、レッスンもなかなかしてくれない(ふらっと畑に出かけて戻ってこない、とかがしょっちゅうあるらしい)、とか聞きます。なんせ感覚が人と異なっているようで、ビジネスマンにしろ、弟子にしろ、相当手を焼く人のようです。指定された日に行っても、2,3日待たされることも普通にあるらしいと聴いたことがあります。
「彼女は、それはそれは大変な方なのよ」と、複数の元弟子から聞いたことがあります。芸術に関わる人ですから、そして世界のトップクラスに位置する人ですから、他の人と違っていていいと思いますし、どんな大変な人でもその音楽が素晴らしい限り、第一線で活躍できるのです。そういうものです。しかし、話を聞く限り、ビジネスの世界との相性については、よろしくないかもしれません。(悪口を言いたいわけでは決してないので誤解しないでください。)
加えて彼女は大勢の取り巻きに囲まれて暮らしていて、海外にもいっぱい人が付いてくる、とか、子どもたちを連れて集団で移動する、とか、若手ピアニストと一緒の舞台で演奏したりとかもしています。それはもうビジネスする側とすればめっちゃくちゃ大変ですね。若手にとってはいいチャンス、かもしれませんが、多くの聴衆はピリスを聴きたいのであって、ビジネスとして成立しずらい。そう、ピリスが若手と出てきても、現実問題、チケットは売れないんですよ。売る側に努力が足りない、と言われればそれまでかもしれませんが、多分、誰が手がけても売れないんじゃないかなあ。それもまたピリスがビジネス界とそりが合わなくなった一つの要因かもしれません。
アルゲリッチも取り巻きに囲まれて暮らしていますので、その点似ていますが、アルゲリッチの場合はそもそもパリとかブリュッセルとか、こちらから会いに行きやすい大都会に拠点を構えていますし、取り巻きや子供たちを「引き連れて」あちこちに行くことはない。そこは大きく違う。
いやそれにしても今回のケースではビジネスと芸術の関係について再度考えさせられますね。
芸術はビジネスとは違う!といくら声高に叫んでも、幸か不幸か、芸術はビジネスとは切っても切れないのです。それは事実。ただ、そのバランスが難しいのです。目先の金儲けに走ると芸術性が疎かになりますし、ひたすら芸術性に走ると・・・破綻するんです。高度な芸術は、広く売れないから。
さらにクラシック音楽の世界は、お客さんは高齢化しているし、減っているし・・・!いやはや、この業界、問題山積みですなあ・・・。と、何となくねもねもしている我ら。とりあえずお昼ごはん食べて来るね。