弦楽器奏者とピアニストの2人が出演するリサイタルの場合、ピアノは伴奏者と書かれる事もあります。これはなかなか払拭しがたい問題なのですが、少なくともヴァイオリンとピアノの場合は伴奏者と呼べるケースはそれほど多くないですよね。
ただし歌、特にイタリアもののオペラアリアとかカンツォーネが中心のリサイタルの場合は、伴奏、でもあり・・・なのかもしれません。やはりどちらかというと歌を聴くのがメインだもんね。でも「歌曲リサイタル」の場合は伴奏という表記には抵抗を感じます。音楽のうちにピアノが占めるウェイトはかなり重い。
最近ストラド誌に乗った以下の記事が、少し世の中的に話題になっているように思いましたのでご紹介しましょう。いずれも、当たり前と思っているようなことかもしれませんが、わざわざ記事になるということは意外と当たり前として受け入れられていないかもしれない。
Treat your pianist as an equal. The piano part is often at least as difficult as the string part, and several composers – Mozart and Beethoven in some of their violin sonatas, for example – regarded the piano voice as more important.
Give the music to your pianist well ahead of time so that you will both be fully prepared by the time of the first rehearsal. Schedule enough rehearsal time to integrate the two parts and build a convincing interpretation.
Know the score. The pianist has an advantage in being able to work from a score, so if you don’t know how the two parts fit together, you may potentially waste a lot of rehearsal time.Work together to create a mutually satisfying interpretation. This is likely to require more discussion than the old-fashioned lead-and-follow approach, but the rewards in terms of developing an intuitive understanding of each other’s playing will be well worth it.
Acknowledge the pianist’s equal status in the performance. Ensure that the concert hall includes the pianist’s name and biography in the programme. Bow together, side by side at the front of the stage. Remember, the literature for stringed instrument and piano is chamber music, so a pianist in a partnership should receive as much respect as a pianist in a piano trio.
ピアニストを同列に扱って下さい。ピアノの譜面は少なくとも弦楽器パートと同程度に難しく、例えばモーツァルトやベートーヴェンといった作曲家はピアノをより重要視していました。
ピアニストには、お互いリハーサルの時に完璧に準備が出来ているよう、十分な時間の余裕を持って楽譜を渡して下さい。二人で一つの説得力ある解釈を作り上げられるようリハーサルには充分な時間を確保して下さい。
スコアを勉強して下さい。ピアニストはスコアを見て勉強します。ヴァイオリンとピアノパートがどのように一つになっているかを知らなければ、リハーサルのかなりの時間を無駄にすることになります。
お互いが満足できる解釈を作り上げるため共同で仕上げてください。この場合かつての、ピアニストが従属する形とは違い、より多くのディスカッションが必要になるでしょうが、お互いの直感的な理解を高めることができ、有益です。
ピアニストが同等であると理解して下さい。コンサートホールにはピアニストの名前とプロフィールの書かれたプログラムが用意されています。一緒に、ステージの前面で並んでお辞儀をしてください。憶えておいてほしいのですが、弦楽器とピアノのコンサートは「室内楽」なのです。ピアノ三重奏におけるピアニストと同じぐらいピアニストを重要視してください。
https://www.thestrad.com/improve-your-playing/5-rules-for-collaborating-with-a-pianist/7540.article
・・・スコア読まずに練習している弦楽器奏者って、いるんですかね?こうやって書かれているということは、結構いる、んでしょうね。弦楽器の人って、ピアノパートも(もちろんピアノで)弾いてみたりするもんだと思っていましたが。
なお、このストラド誌の記事は、最後にイツァーク・パールマンがロハン・デ・シルヴァと演奏している動画が貼られておしまいになっている。
ち、ちょっと待った!パールマンとロハン・デ・シルヴァって、どっちかというとピアニストが「従」の関係にあるような二人なのでは?・・・本人も「パールマンがステージ上で、次の曲はどれそれ、とだけ言って思いついた曲をすぐ演奏し始めるから、間に合うように慌てて楽譜を探し当てて開いて演奏する」って言ってたけど・・・おや、誰か来たようだ