譜めくリストを撃て!

「譜めくり」は将来なくなる仕事だと確信しています。

今は過渡期です。どちらかと言えば保守的な人たちが多いクラシック音楽界ではまだ普及していませんが、iPadなどのデジタル楽譜が譜めくりを駆逐する日はそう遠くないと思います。

なお、日本人の譜めくリストのレベルは非常に高い、ということは予め申し上げておきたいと思います。日本人は基本的に真面目な人が多く、目の前の仕事に情熱を傾ける人たちが多いからかどうなのか、日本人の譜めくりの失敗談はそう多くはありません。

個人的にな話をしますが、私もプロのピアニストたちの、公のコンサートで何度も何度も譜めくりをしていますが、やばかったのは「ピアニストが楽譜にないことを演奏し始めたとき」その一回だけです。あれはやばかった。

突然ピアニストが、全然楽譜に書いていないことを弾きだしたんですよ。その時はヴァイオリン・リサイタルだったのですが、狼狽した私は全力でヴァイオリンのパートを凝視しましたが完全に「落ちた」という状態になり、しょうがないので適当に頃合いを見てめくった、という体験があります。あれは恐ろしかった。

演奏後にピアニストに「ごめんわからなくなった」と言ったらピアニストに「ごめん作曲した」と言われました(ピアニストが、途中でわからなくなって適当に弾いていた)。やめてくれよ・・・。

大事故はなくても、ヒヤリハットは数多くの方々が経験されていると思います。ポゴレリチはよく譜めくりの兄ちゃんを叱っています。何を叱られているのかはわかりませんが、多分本人が思うタイミングが譜めくりの人と違うんでしょうね。

そう、譜めくりの危険は、タイミングという恐ろしく個人的なレベルでの相性もあるのです。ああ、怖い怖い。

今朝読んだ記事には、音楽家たちが出会う危険な譜めくリストについて挙げられていました。

・ピアニストに伝わるほど緊張しまくっている人。
・腕が悪いため違うページをめくってしまう人。
・香水が臭い人
・ネクタイやネックレスがピアニストの腕にからまってしまう人
・楽譜読めるよと言っていたくせに実は全く読めない人

あまりこれは日本人の譜めくり人には当てはまらないなあ。特に日本人は楽譜読めないのに読める、と言っちゃう人はほとんどいないのでは。

ちなみにこの記事では、譜めくりについて「音楽の世界における航空管制官のようなもので、どちらも非常に高いスキルが求められるものの、あまり感謝されない」とも書かれていました。

うーん、これはよくわかる。