やたらさわやかなイゴール・レヴィットに卒倒する。原典版について少々。

ご存じ、ヘンレ版。ヘンレ版というと、ピアノを勉強した人なら知っている。ヘンレ版に苦しめられた人も多いでしょう。日本で最も広く知られた「原典版」楽譜の一つです。原典版っていうのは、簡単に説明すると、作曲者の意図通り楽譜のことです。校訂をする人の主観などが可能な限り排除されているとされる楽譜のこと。それに対してシュナーベル版とか井口版とか言われるのもあって、それは演奏者の視点から、こうした方がいいよとか、ここの指使いはこれ、とかそういった主観が大きく含まれるているものです。

原典版も究極まで行くと自筆楽譜をそのまま出せば?とかいう話にまで行くのかもしれませんが、そして本当にファクシミリ譜というのもありますが、そういうのはなんせ読みにくいのが常。

さらに言えば自筆譜にも間違いは存在します。本だってそうですよね。自筆の原稿とか、まあワードでの原稿でもいいですけど、そういうのだって誤変換やら脱字やらあります。それを直して本として発売できる形にまで持って行く作業は必須。校正の出番です。そう、ファクシミリ版はしろうとにはおすすめできない諸刃の剣。

本と違って楽譜の場合は作曲者が意図的にその音にしているのか、単に書き損じたかの判断は強烈に難しい。生きている人ならともかく、クラシック音楽の作曲家は死んじゃっている人も多いですから。今からベートーヴェンに聞くわけにはいかない。なので複数の原典版という楽譜が、ある。我こそは最新の研究に基づいた正確な楽譜だ、と、やっているわけですよ。

で、ヘンレ版もそのうちの一つ。あの青っぽい楽譜です。青というのにはちょっとくすんだ色だけど、やっぱりヘンレを表現するなら青?なんでしょうか。とここまで書いていきなり不安になってきました。あの楽譜が青いのか、灰色なのか、藍色なのか、あるいはもっと全然違う色なのか、だれか指摘できる人がいたら教えて下さい。

えーと、ここまでが長い前振りで、ここからが、一瞬で終わる今日の本題。

最近ヘンレ版も電子化してきていまして、アプリも出しています。イゴール・レヴィットがその宣伝に登場しているのですが、なんか可愛らしかったので以下に貼り付けます(ごめんなさい本当に今日はそれだけなんですよ)。

格好良くディアベリ変奏曲の主題を弾いて・・・・んっしょ、ってその両手の動きがやばい!!なんなんですかねこの爽やかさは。こんなさわやか系の人だったっけ。これは、間違いなく今年の流行語大賞になりますよ、少なくともノミネートは、される!!(されません)