リーズ国際コンクールと子どもたち

リーズ国際コンクールの発表によりますと、来年のコンクールにおいてはコンクール以外にアウトリーチなどのプロジェクトが実施されるようです。いくつかある、と書かれていますが、そのうちの一つにPiano Fantasiaというプロジェクトがあります。これは小学校向けのイベント。リーズの学校の4年生(Year 4)と引率者、1校につき最大70名をこのイベントにご招待!・・・だから来たい学校はコンタクトちょうだい、と書いてあります。

コンクールがインターネットで、公開で学校に参加を促す、募集するっていうのも面白いですね。学校が関わるようなイベントって、だいたい非公開で決まるもんではないかと思っていたのですが。(そういうものなんじゃないかと勝手に思っていますが間違っていたら教えてください。イギリスやヨーロッパは日本とは事情が違うでしょうし)

それにしてもどうしてリーズはこういう事をするのか。なぜでしょう。わかりませんが、考えられる理由はいくつかあります。

(1)純粋に芸術的な意味合いから。クラシック音楽の将来を考えた場合、現状としてとても明るいものではないので、なんとかして若い世代を掘り起こしたい、という願いがありますでしょう。「若いアーティストを発掘し世に出す」という使命を持つコンクールは、究極のところ、子どもたちがクラシック音楽をやってくれなければ存在そのものが消滅する。

(2)スポンサーの意向。大人の事情ですね。コンクールってばかみたいにお金がかかります。収益で言えば絶対にプラスに転じることはありません。現代の著名な国際コンクールにおいては、出場者の負担すべき費用は、限りなく低く押さえられている。エントリー料はかかるが、渡航費(一部~全額)とか、宿泊費、練習場所も事務局により確保され出演者に提供されるケースがいまは一般的。事務局は審査員へは謝礼、またホテル代や移動費を払わないといけない。そして賞金も最近は高額になってきている。

そう、出て行くお金が大きい。その反対に入ってくるお金はチケット収入しかないので、微々たるもの。スポンサーが絶対に必要なのです。そのスポンサー、コンクールの場合は地元自治体が大きなパートを担っているケースも多いです。そうであればスポンサーもなにか言いたくなるでしょう。高いお金をスポンサー料として払っているのに、何がこちらにメリットとしてあるのですかというわけ。もちろん、メリットなしでお金だけ出します、という無私の愛が極まったような人もいますが、そんなケースはけっこうレアだと思うんですよね。というわけで自治体などのスポンサーが希望したのでアウトリーチを実施する、というもの。これもあり得る。

(3)出演者、あるいは関係者からの圧力。有名なアーティストに出演して欲しい場合、単にお金を出せば出てくれるばかりとは限りません。人の心はそう単純ではない。アウトリーチをやってくれるなら出ます、と言われるかもしれません。あるいは同じ事務所の売れてないアーティストを抱き合わせで販売、というケースもある。それを受けて主催者も、じゃあやりますか、という事になる。大変に大人な事情です。汚いと思われるかもしれませんが、現実としてよくある。世の中はそう単純ではありません。パフォーミングアーツも、純粋ではありません。

ただし、今回予告されているこのプロジェクトに出演するのは有名な人でも、超強力事務所に所属、とかでもなさそうなので、どちらかと言えば(2)番、もしくは(1)番に可能性を感じます。

ちょっとだけ気になったから、本当にところどうなのか、こっそり調べてみようかなと思います。おもしろいことがもしわかれば、このブログにてまたご報告を差し上げたいと思います。わからなかったら、あるいは不幸にも途中で調べる気がなくなってしまった場合、特に報告なくこのままとなります悪しからずご了承下さい。

それではまた。ごきげんよう。