そうかクルターグが90歳になったのか。夫婦でバッハを弾く動画が美しいなと。

ハンガリーの現代音楽作曲家で最も素晴らしい作品を書いたのは誰でしょう。

個人的にはリゲティがたぶん一番好きです。リゲティの音楽は「意味不明な現代音楽」という先入観を越える魅力がありますよね。響きに品格がある、というと格好つけすぎでしょうか。一言で言って、いいんですよ。

しかしクルターグも忘れてはいけません。

クルターグが今月、つまり2016年2月19日に90歳になったのを遅まきながら知りましたが、それというのも夫婦で演奏している動画があちこちでシェアされていたからです。これです。

録音は去年の11月30日だそうです。89歳の老作曲家夫婦が弾くバッハ、なぜかアップライトピアノなんですけれど、しかもなぜかマフラーペダルが踏まれているようなんですが(アップライトピアノの真ん中にあるペダルをマフラーペダルなどといいます。鍵盤とハンマーの間にフェルトが挟まるので音がかなりモコモコになるんですよね)、その厳しさは変わらず。カチッとしていて美しい。

ピアニストによっては加齢に伴い演奏がどんどん崩れて行く人も居るのですが、そんな心配は無用。安心して聴いていられます。

私もクルターグ夫婦のデュオ・リサイタルをヨーロッパで観たことがありますが、その時は確か80歳記念だったと思います。つまり今から10年前。それは素晴らしい演奏でした。「遊び」を全曲弾いたと記憶しています。

クルターグは厳しい作曲家、寡作の作曲家としてもよく知られています。ピアノ曲で最も有名なのは「遊び」(Játékok)ですよね。この曲も、厳しくて難しい音楽であることは聴けばすぐにわかります。

「遊び」聴いたことが無いという方は、抜粋ですが、自筆譜もチラチラ見えて面白いのでこのコチシュの映像から入るのがおすすめ。

その次は夫婦のデュオ・リサイタルをどうぞ。パリのシテ・ドゥ・ラ・ミュジークでの2012年の公演ですかね。二人が仲良く歩いて出てくるところからして涙を禁じえません。私が10年前に生演奏を聞いた時も、こんな風に仲良く出てきて、仲良く並んで弾いていました。