今日はピアノではありませんが、少し興味深いお話なので、ここに記してみます。ソースはこのサイトでもいつもおなじみ、ノーマン・レブレヒトのブログ。
子供をコンサートに連れてきた結果、子供がコンサート中に話出して止まらなくなったという事件。日本、特に東京ではあまり起こり得ない風景のようにも思いますけれど、でも、いつ起こってもおかしくはない話です。日本ではだいたい未就学児は入場不可、という公演がほとんどですが、かといって7、8歳の子供をコンサートに連れてくる人はあまりいないように思います。内容にもよりますが、もう少し大きくなってから、じゃないでしょうか。子供がものすごくクラシック音楽好きならともかく、せいぜい中高学年になってからのように思います。
なぜか。なぜならクラシック音楽はひたすら静寂を好むもの(特に客席の方)だからで、子供は騒ぐものだからです。以上。終わり。
ロックみたいにガンガンのPAで鼓膜をやられそうな爆音コンサートであれば子供が少しぐらい騒ごうが何の問題もないですけど(子供を爆音に晒すことの是非はありますがね)、クラシック音楽のコンサートではどうあっても静かにしないと、コンサートがぶち壊し、成り立たない。
子供が騒ぐと、親としては困惑の極みとなるわけですが、そういうとき何が出来るかというと、なんとか静かにしてくれと念じながら低い声で注意する、ぐらいしか出来ません。それで駄目なら外に連れて出す、という事になるわけです。そして周りの聴衆は、静かにしてくれと念じることしかできません。すくっと立ち上がってやおら「出ていかんか-!!」って叫んだりしたらそれこそぶち壊し。あなたが出ていってください、ということにもなろうかと思われます。
ニューヨークで面白いお話があったようです・・・。
ブルックリン交響楽団(アマチュア、セミプロ、プロで編成される混成オーケストラ)の公演で、リムスキー=コルサコフのシェヘラザードを演奏する直前のこと。子供が話はじめて止まらなくなったのです。演奏中ではなく、曲と曲の間、曲間(きょくかん)ですね。「火の鳥」が終わり、「シェヘラザード」が始まる前に子供がおしゃべりをしはじめて、止まらなくなったと。
出ていくように周りの聴衆の誰かが注意をしたそうです。聴衆の「いらいらメーター」がレッドゾーンに入ろうとした時、指揮者がその子の方を向き、、、、出ていかんかーっ!!!
ではなくて、親ともども一列目においでと招いて(一列目があいていてよかった)、シェヘラザードにはコンサートマスターのソロが何回出てくるか忘れちゃった、何回あるか、数えるのを助けてくれない?と言ったそうです。
実際にソロが出てきたら子供の方を振り向き、いま何回目!と手で示したそうです。子供も最後まで集中して聞いていた、と。
シェヘラザード45分かかるのにすごいね!!うん、実に心温まるな、とねもねも舎としてはじんわり思ったのですが、皆様はどのようにお受け取りになりますでしょうか。指揮者がそんな行為をしたら客席の集中力やオーケストラの集中力も削がれる。やっぱり台無しだ、と思う方もおられるかもしれませんね。
でも、ときにはこういうコンサートがあってもいいんじゃないかい?