ピアノの話題ではないですが、フィリップ・ジョルダン(1974- スイス。公式サイト)がウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任することの発表があってから10日ほど経ちます。詳細はオペラニュースとか、ニューヨーク・タイムズ紙とかをご覧いただければと思うのですが、
https://www.operanews.com/Opera_News_Magazine/2017/8/News/Philippe_Jordan_Vienna_State_Opera.html
https://www.nytimes.com/2017/07/31/arts/music/philippe-jordan-will-lead-the-vienna-state-opera-can-he-bring-peace.html
日本では全く報道されていません(たぶん。3分ぐらいしか検索していませんが。どっかに報道されていたら教えて下さい。個人のブログとかSNSで書いている人はいます)。
ウィーン国立歌劇場といえば、音楽を知らない人も知っている(かもしれない)、世界最高峰の歌劇場です。念のため書いておくと、ウィーン・フィルの母体です(ウィーン国立歌劇場のオーケストラ奏者の中からウィーン・フィルのメンバーが選ばれる)。年間350もの公演を数え、チケットも阿呆みたいに売れている劇場。バイエルンのほうがいい、とかそういう意見もあるでしょうが、とりあえずウィーンが世界最高という認識でいる人の方が圧倒的に多いです。
大変むずかしい劇場としても知られていて、人間関係、政治が複雑(という噂、現場にいたことがないのであくまで想像ですがね)。カラヤンもマゼールも、アバドも、ウェルザー=メストも、幸せな辞め方をしていません。小澤征爾が音楽監督を務めていたこともありますが、やはり評価は散々でした。
歌劇場やオーケストラで仕事はしたくないなといつも私は思うのですが、それはたくさんの演奏家がいて、同じ意見の人がいない中なんとかまとめ上げなければならないというところ。みんながハッピーになるという事がないので、誰が何をどう決定しても、常に批判にさらされる、という点。
ウィーン国立歌劇場ともなると、自分たちがトップという自意識が関係者全員にあるでしょうから、それはもう大変でしょう。野球ならヒットを打ちまくったり勝利投手になりまくればみんな黙りますが、オペラの場合明確な指標がないのもつらいところ。
これを書いていて思い出したのですが、カルロス・クライバーについてウィーン・フィルのある古いメンバーから直接話を聞いたことがあるんですが、「クライバーの1989年のニューイヤーコンサートは素晴らしかった、でも1992年はだめだった」、とその人は言っていました。うーんどっちもすごいように思うがな・・・。中の人にとってはだめだったんですかね。それともそれはその人個人の意見なのかもしれませんしね。クライバーですらこうやって批判されるわけだから難しい。批判のないところに進歩は無いのかもしれかせんがね。
しかし新音楽監督について日本国内で報道がないっていうのは、それほどまでにフィリップ・ジョルダンに価値がないと見ているのか。いや、たぶんというか、そもそもクラシック音楽にニュース価値がないんですよね。そもそも他の大陸の文化ですからね・・。まあこれが現実ってところですかね。フィリップ・ジョルダンが音楽監督になっても新聞は売れませんしね。今年秋のウィーン交響楽団の来日公演のチケット売り上げに少しはプラスに働くかもしれませんが!!