歌手の世界というのは器楽の世界と大いに異なっています。歌手は身体が楽器です。楽器は美しくてなんぼ、と言うわけでもありますまいが歌手には「私を見て」というタイプの人が多いように思います。女性ならくっきりした濃い化粧の人、男性歌手なら「髭」をはやした人に出会う確率が、器楽奏者よりも相当に高い。興味深いことだなと思っています。
それはさておき。美しい銀髪の大スターバリトン、ホロストフスキーが死んだということでオペラ界では蜂の巣をつついたような大騒ぎになっています。前々から闘病中とは言われていたが、ついに・・・。1962年10月生まれ、享年55歳でした。ご冥福をお祈りいたします。
https://www.theguardian.com/music/2017/nov/22/dmitri-hvorostovsky-obituary
しかしこのブログはピアノのブログなのです。なのでやや強引ながらピアノに話題を持って行きます。何かって言うと、ホロストフスキーと同世代のものすごいピアニストって、いるだろうかとふと気になったんですよ。1960年代前半生まれで、現役で、スーパースターピアニストって誰です?年齢で言うと50代半ばぐらいのスターピアニストって誰がいると思います?
これが思い浮かばないんだ・・。なんということでしょう。大ピアニストと呼ばれる人が浮かばないとは!(単にピアニストの年齢を記憶していないだけとも言う)。で、うちの本棚のぱっと手の届くところに吉澤ヴィルヘルム著「ピアニストガイド」という本があったので、ぱらぱらっとめくってみた。この中に記述のある人で、62年の前後5年生まれの人というと、本に出てくる順番で以下の通り・・・。名前の後は生年(西暦)
オリ・ムストネン67
及川浩治67
リリヤ・ジルベルシュタイン66
シュテファン・ヴラダー65
熊本マリ64
ケマル・ゲキチ62
ジャン=イヴ・ティボーデ61
マルク=アンドレ・アムラン61
スタニスラフ・ブーニン66
ダン・タイ・ソン58
ケヴィン・ケナー63
高橋多佳子64
マルク・ラフォレ66
小山実稚恵59
ジャン=マルク・ルイサダ58
エヴァ・ポブウォッカ57
イーヴォ・ポゴレリチ58
バリー・ダグラス60
ミハイル・プレトニョフ57
アラン・ヴォロンダ62
アブデル・ラーマン・エル=バシャ58
若林顕 65
仲道郁代63
リカルド・カストロ64
ウラディーミル・オフチニコフ58
ジョン・キムラ=パーカー59
エリック・ル・サージュ64
小川典子62
野原みどり67
藤原由紀乃66
清水和音60
田部京子67
伊藤恵59
フィリップ・カッサール62
アンジェラ・ヒューイット58
イェフィム・ブロンフマン58
ピエール=ローラン・エマール57
うむ、けっこういますね。そりゃいるわな。
で、だ。この中で世界的に超絶活躍しているピアニストっていうと・・・まずはブロンフマン、プレトニョフ、それからエマール、ですかね。アムラン、ポゴレリチあたりが次点ぐらいになるか。
しかしホロストフスキーのような大スター扱いはやっぱりいないか。歌手と違ってピアニストはもうちょっと齢を重ねないと大スター扱いにはならないのかも?