昨日ご紹介した内田光子のインタビュー、その続きに面白いことが書いてあったので、今日もこの話題です。(新鮮味がなくてすいません)
このインタビュー、実は2013年のものなんですが、かなり面白いので興味のある方は全部読んでみてね。そんなに長くないから途中で挫折しなくてもいいでしょう。英語の勉強にもなります。
というわけで内田光子のロンドンのお宅にはいったい何台のピアノがあるでしょうか。何台あると思います?
ではまず、普通のおうち。普通のおうちにはピアノは何台ありますでしょうか?答え:ゼロ。そうですよね。普通のおうちにはピアノはありません。ピアノがある方が異常(?)なのです。では次に、ピアノを本格的にやっている人のおうちということで限定すると?答え:1台、多くて2台でしょう。
でも実際専門家ですら、自宅に2台ピアノがある率は高くないと思います。音大ピアノ科教授のおうちには2台あるケースも多いと思いますが、それでも2台。教授でも1台しかない、というような人もいます。なんせピアノ、高いから。
では内田光子邸のピアノは何台か。正確には内田光子の、自宅の向かいにあるピアノスタジオにあるピアノは何台か、という質問。さあ何台でしょう?下の会話を読んで下さいね。(2013年の頃の話、今は違うかもしれません)
You live in a Notting Hill mews house with your piano studio opposite – in the centre of bustle yet separate from it…
Yes, all I have to do is cross the street. Currently I have four pianos, all Steinways – one I call “the Oldie”, who was born in 1962 and I bought in 1982. He is now full of new bits but the body is the same.You’re sounding quite tender about these pianos…
They’re like human beings – all men. Number 2 is good for practising on. The third I call the Boy from Munich – the kind that would drive a sports car. The fourth is the youngster, just getting nappy trained. I’ll probably find somewhere in Europe to house him so I don’t always have to transport a piano – which is quite a business.あなたはノッティングヒルのミューズハウス(※)に、ご自身のピアノスタジオの向かいにお住まいだ。喧騒の中心地でありながら静かな場所に・・・。
そう、私はいつも道を渡っているのです。今私は4台ピアノを所持しています。全てスタインウェイです。一つは「the Oldie=年寄り」、1962年製で私が購入したのは1982年。彼はいろいろ施術を施されているけど、ボディはそのまま。ピアノについて話される時はとても優しい口調になりますね・・・。
人間みたいなものですから。みんな男性ね。ナンバー2は練習するのに適している3番目のピアノは「the Boy from Munich=ミュンヘンの少年」と読んでいます。スポーツカーを運転しているような感覚にさせてくれる。そして4番目の楽器は「the youngstar=若者」、まだおむつがとれたばかりね。ヨーロッパのどこか別の場所に彼を置いておこうと思うの。海を運ばなくて済むようにね、運ぶの大変なのよ。
https://www.theguardian.com/music/2013/aug/04/mitsuko-uchida-proms-interview
というわけで答え:4台。すべてスタインウェイ。
一番若手のヤングスターを欧州本土に置いておきたいと語っているところから、4台いずれも、スタインウェイのフルコンではないかと思われます。4台買ったら、イギリスでのスタインウェイの価格は知りませんが、6000万円ぐらい?はしますでしょうね。
世界のスターピアニストとして長年君臨する内田光子はやはり楽器についても桁外れなのです。
(※)ミューズハウス=もと馬小屋だったのを改造した長屋風のおうちのことだそうです。