ピアニストが足を怪我した場合、ピアニストはコンサートで演奏できるのでしょうか。みなさんはピアノを弾きますか。弾くという人はためしに足に意識をしながらピアノを弾いてみて下さい。
けっこう足って、ふんばっていませんか。足なんかなくたってOKという人もいるかもしれませんけれどほとんどいないはず。
アンジェラ・ヒューイットが先週、コンサート直前に左足をひねって痛めたようですが、それでも車椅子に座り、演奏したそうです。ロンドンのウィグモア・ホールで。男性二人が彼女を舞台によっこらしょと車椅子ごと乗せてでたそうなのですが、お客さんはさぞ驚いたことでしょう。
弾いたのはバッハの平均律第1巻。驚く客の前で、痛みに耐えられなくなったら演奏をやめるかもしれない、と言って演奏した、と。右足でペダル踏めたのは不幸中の幸い。あ、それともヒューイットってバッハではペダル踏まない人だったかな。
こういう状況ですとお客さんのボルテージも上がりますよね。壮絶な一体感というのが生まれるはず。お客さんは大喜びだったそうです。なんとなく雰囲気が想像できるようですね。詳細は以下のページに。
Injured pianist Angela Hewitt powers through concert from her wheelchair
http://www.cbc.ca/news/canada/ottawa/ottawa-pianist-angela-hewitt-wheelchair-concert-1.4504217
ヒューイットが語るには、そう簡単に自分はキャンセルしない、そうです。104度の熱があったときも演奏したし（おっと、これは華氏ですね華氏104度＝摂氏40度）、自分の母親が死んだ夜も演奏した、とのこと。プロフェッショナリズムとはこういうことでしょうか。それとも、いかにプロと言えどそれはやりすぎでは、と感じますでしょうか。
個人によって考え方も違いますし時代や国などによっても考え方は変わってくるでしょう。さすがに母親が死んだ日はキャンセルしてもいいのかも、と個人的には思いますが、これだって私個人の意見ですからね。キャンセルしたからと言って非難はできないかな。・・・非難されるべきキャンセルは、準備不足のためのキャンセルとか、スケジュール調整ミスによる（ダブルブッキングとか、フライト撮り損ねとか）キャンセルですかね。まあそもそも準備不足って言う時点でプロじゃないけど。
「だいたい有名な作家とか映画スターとかにはとりまきがいつも10人ぐらいいて、自分の荷物を全部持ってくれる。でもクラシック音楽家は全部自分でやらないと行けない。そんなのにはちょっと飽き飽きよ」と自虐的に笑いながら語るヒューイット。とりまきが荷物持ってくれるっていうのも気を使っちゃって落ち着かないと思うがなという感想を持つのは自分が貧乏性だからか。
