ゲイリー・グラフマンが90歳になりました。その事はSNSなどで流れてきていたので認知していましたが、NYタイムズ紙が記事にしました。
Piano Stars Gather for a Legend’s 90th(伝説の90歳を祝いスターピアニストたちが集まる)
https://www.nytimes.com/2018/10/15/arts/music/gary-graffman-lang-lang.html
ゲイリー・グラフマンというピアニストの名前を知っている人は結構なピアノ・ファンに属すると思います。ましてや演奏を聴いたことがある、という人となるとその数はさらに一気に減る。華々しいキャリアをスタートさせながら、右手が使えなくなり、教育の方に転換していった人でもあります。カーティス音楽院の教授となり、学長となり、長年学校を率いました。
日本ではその名声は名教師として、つまり、ラン・ランとユジャ・ワンとかを育てた人としての方が知られていますね。一昔前の日本の本では「めったに教えなかったホロヴィッツの弟子の一人。だが大成しなかった」みたいなネガティヴな書かれ方をしていたように思います。(記憶違いかも)
先日90歳の誕生パーティーがニューヨークで開かれ、ラン・ラン、レオン・フライシャー(フライシャーの方が数ヶ月年上!上の写真の左側にちっさく写っている人です。念のため)、エマニュエル・アックスなどが出席していたとのこと。すごいことですね。アックスなんか喜んで写真撮ってたらしいですよ。アックス熊かわいい。クマー!一言で言うなら、グラフマンはアメリカの音楽界では間違いなく超VIPだと思うんですよ。ピアニストは、スターソリストが全てではない。
このNYタイムズ紙の記事では若い頃のエピソードなども書かれていました。マールボロ音楽祭でルドルフ・ゼルキンに学びながら、同時期にホロヴィッツにも学んでいたという話。
おもしろかったのは、ホロヴィッツのセッションは午後8時ごろから始まり夜中の2時ぐらいまで続いたという話(やっぱり宵っ張りだったんだね!)、あるいはゼルキンはピアノをオーケストラのように扱うよう、いろいろと話しをしてくれたが、ホロヴィッツは歌と比較した、という点です。
ゼルキンは左手のここははファゴットというよりコントラバスだね、とか、右手のここはヴィオラだね、という感じで話をし、ホロヴィッツは素晴らしい歌手がどのようにフレージングしながら歌ったか、ということを話した、というのです。
うーん。これはその場に居合わせたかった。伝説の存在グラフマンがこれからもお元気で活躍されることをお祈りいたします!