レオン・フライシャーは来年90歳

超高齢で現役のピアニスト、先日は元ボザール・トリオのメナヘム・プレスラーがサントリーホールで演奏しおおいに客席が沸いたと聞いております。それはそれは感動的な光景だったとか。

ピアニストは弾けなくなったらおしまい、とは指揮者との比較で先日そのような事を書きましたが、しかしピアニストは他の器楽奏者とくらべて高齢でも活躍できる楽器ではあります。

管楽器は肺活量や口の周りの筋肉などが落ちてきますから、明確に吹けなくなる。弦楽器も、弓を押さえる力がなくなってくる。ギトリスぐらいになると、楽器を支える力もなくなっている。なのでギトリスの場合、舞台上に特製の楽器置きがあるわけです。見たことあります?ヴァイオリンの先っちょのところ(スクロールと言う)をおける枕のようなものが舞台に置いてあるのを。そこまでしても演奏するという執念がまた異様に客席を興奮させるのですが!

ピアニストは座って弾けるし、身体もねじったりとかそういうことなく自然な姿勢で演奏できるので、筋力が落ちてきてもまだまだ大丈夫。もちろん一部のリストやラフマニノフ作品のような体力を消耗する曲目は演奏できないが、うまく脱力さえ出来ていれば、いろんな曲が弾けるわけです。

90を越す高齢でも頑張っているピアニストって、プレスラー以外ですと誰がいますでしょうか。バドゥラ=スコダ?アビー・サイモン・・・あとは誰だ?

ここにレオン・フライシャーが来年名前を連ねることになります。おおレオン・フライシャー、今でもお元気なのですね。1928年7月生まれ。来年で90か・・・。

http://slippedisc.com/2017/10/pianist-said-rachmaninov-bad-business/#sthash.92zTH3Zb.gbpl

フライシャーといえば、劇的な人生。左手のピアニストから両腕のピアニストへの復帰。復帰後に出たアルバムは涙なしには聴けない超絶美しい傑作。「トゥー・ハンズ」と「ザ・ジャーニー」です。知らない人は今すぐ買いなさい。絶対損しないから。

フライシャーはウェブサイトがありませんが、Facebookはやっている。今でも活動していますよ。さすがに世界中を飛び回るというわけには行きませんが。

https://www.facebook.com/leonfleisherofficial/

再生回数のすさまじいこの動画も素晴らしいけれど、

ヨーヨー・マにそそのかされて無理やり弾かされるブラームスの協奏曲第1番の断片もすごい。長年弾いていない曲をさらっと弾いてみせる記憶力にも信じられない思いがします。

前に面白いなと思ったことがあって、アメリカ人ピアニストはレオン・フライシャーの事をよく知っていてものすごく尊敬しているんですが、ヨーロッパのピアニストは、フライシャーの事を全く知らなかったりします。これが不思議。フライシャーはベルギーのエリザベート国際で優勝していて、確かフランスに住んでいた事もあるんですがね。

ドイツ人とか、かなりの高確率で「え?誰それ?もう一回名前言って?・・フライシャー?知らないな」と言います。そんなもんなのかな。

そう考えると日本に集まっているクラシック音楽の情報量ってすごいなと思いますよ。実際のコンサートの数もすごいですし(コンサートの数の凄さという点では日本でも東京に限った話ですが)。