今年のエリザベート国際コンクールは第1回目となるチェロ部門が開催中で、いよいよ来週本選ですね。12名のファイナリストが発表されています。すでに知られた名前もちらほら。そのなかに日本人もいますよ(岡本有也)。皆さんがんばっていただきたい!!
もう一人、コンクールのサイトに日本人の名前があります。それが・・・佐藤卓史!若手から中堅どころにならんとしているピアニストですね。なぜ佐藤卓史か。佐藤さんはこのコンクールの公式ピアニストなんですよ。
公式ピアニストってものすごいストレスですよね。コンテスタントにかかるストレスとは別種の、相当なストレスがかかる。
いろいろな出場者と演奏するので膨大な数の曲を準備しなければなりません。もし同じ曲を弾く人がいたらその人の演奏にできるだけ合わせ、弾き分けてあげなければいけない(同一曲でもコンテスタントごとに違う楽譜を用意する伴奏者もわりといます)。
佐藤さんは超がつくほど真面目な人で仕事が細かい。今回丁寧な準備をされたことはまちがいありませんし、実際にこのコンクールに呼ばれてピアニストとして演奏するのは初めてではありませんから、事務局からも信頼をされている、ということになるでしょう。
来週のファイナルではピアニストの出番はないので(新曲と協奏曲、いずれもオーケストラ伴奏)、ピアニストのお仕事は終わり。お疲れ様でした!
蛇足ながら今回コンクールの「公式ピアニスト」は佐藤さんを含む5名なのですが、それ以外にもピアニストが出ていますね(出場者は自分でピアニストを連れてくることもできる)。薗田奈緒子さんも出ている。コンクールの「ルール」を読みますと、コンテスタントが連れてきたピアニストにギャラが支払われる、と書かれています。おもしろい。
ルールの第46番目です。なんか面白かったので訳しちゃう。
46. Pianists to accompany the candidates
Pianists designated by the organisers of the competition are at the disposal of the candidates. Candidates may, nonetheless, have a personal accompanist, in which case the Competition will pay him or her EUR 150 for taking part in the first round and EUR 250 for taking part in the semi-final. These sums include payment for all rights to recordings.The pianists may also be accommodated by a host family as long as their candidate is in contention, until the end of the semi-final at the latest. The Competition will also pay 50% of the accompanist’s travel expenses (a return journey to Brussels, subject to a maximum of EUR 500) if the candidate is admitted to the semifinal. The Competition cannot reimburse the travel expenses of accompanists who live in Belgium or who travel by car.46.参加者の伴奏をするピアニストについて
事務局によって選ばれたピアニストを伴奏者として頼むことができます。あるいは参加者は個人的に伴奏者を連れてくることも可能です。この場合コンクール側が彼/彼女に第1ラウンド参加費として150ユーロを、セミ・ファイナル参加費として250ユーロを支払います。この金額は録音の権利費用も含まれます(訳注:コンクールの音源は後日CDとなって発売されるため。もしくはライブ中継に関する権利もここに含まれるでしょう)。伴奏者は参加者がコンクールに勝ち残っている限り、セミ・ファイナルの終わりまでホストファミリー宅に泊まることができます。伴奏者の旅費は、出場者がセミ・ファイナルに進んだ場合に限り50%が支払われます(ブリュッセルまでの往復旅費で、最大500ユーロ)。ベルギー在住の伴奏者、もしくは車で移動する伴走者への旅費は支払われません。
ルール全部読みたい方はここです↓(pdfです)
http://cmireb.be/Concours2/documents/vcl2017_en_20161110editart.26b30426.pdf
なるほどなあ・・・・こういう細かいところまでちゃんと決めてるんですね。さすがエリザベート国際。素晴らしい!!
蛇足その2。このコンクールにはもう一人だけ、ピアニストが出ています。それは・・・フランク・ブラレイです。驚いたあなたは多分正しい。ブラレイが何をしたのか。というと、セミ・ファイナルで指揮をしました(なのでピアニストというくくりにしてしまうと間違いですが。まあでもブラレイを指揮者として認識している人もそう多くはいますまい・・・)。