クラシック音楽のコンサートにおける静寂とは

今朝、スマホを眺めていて流れてきたニュースですが、スウェーデンで、コンサートの際に喧嘩が起こったそうです。

スウェーデンで開かれたクラシックのコンサートでケンカが起こる
https://jp.sputniknews.com/incidents/201810315522130/

どういうことかというと、上のページをご覧いただければ詳細は書いてありますが、ガムを演奏中に食べようとしたおばさまに対して、近くに座っていた青年が注意をしたのみならず包み紙を取り上げおばちゃんに投げつけた。終演後、おばちゃんとおばちゃんの同伴者が切れて青年に殴りかかった。

ま、そんなストーリーです。

この場合、その状況ははっきりと現場にいないとわかりませんが、どちらの側にみなさんは与しますか。おばちゃん?それとも青年?

そりゃどっちもだめだわというのが普通の人の感覚でしょうか。どっちもどっち。おばちゃんはガムを出すべきではなかったし、青年は包み紙を投げつけるべきではなかった。

青年は純粋な純粋なクラシック音楽ファンだったのでしょう。静寂が破られたことが不愉快でしょうがなかった。でも、彼の行動は、行き過ぎ。注意する場合はせいぜいシーッ!って指を手に当てて、ジェスチャーでうるさいですよアピールをすべきだったのだと思います。

すべてのジャンルはマニアが潰す、という、プロレスの関係者が発言した有名な言葉がありますけれど(こことか御覧ください)、マニアというのはリピーターであり、お金を落としてくれる素晴らしい存在ですが、時として(もしくはしばしば)偏狭に陥り、独善的になり、排他的になる。これは大変由々しき問題です。青年はこちらの側の人なのでしょう。なのでアウト。余計に騒ぎが大きくなるだけだし、こういうことを繰り返されるとソフトなファンが怖がってコンサートに来なくなるので、態度を改めるまでコンサートに来ないで。

またおばちゃん側もアウト。何らかの事情があってガムを出さざるを得なかった、と100歩譲ってそう理解してあげたとしても、大きな音を立てるべきではなかった。(いや、それは難しいんだけどね。)こういうおばちゃんたちに何度でも言いたいのですが、演奏中にガムやアメの袋を取り出して開けないで!静かにやってるつもりでもほぼ100%音は筒抜けですから。そして、変に気を使ってゆっくり開けるのもやめて!「パリ・・・パリ・・・パリ・・・・」と断続的に響く(文字通りその音は「響く」のです)音に対して、周りの人ははっきり気がついていて、やめてええええ!と思っています。おやめください。

とここで叫んだところで絶対にそういう層には声が届かないのが残念です。そういうリテラシーの低い層はこういうサイトには来ませんし、どんなにアナウンスしても、あるいはプログラムに書いても、本当に聞いてほしい人は聞いていない、読んでほしい人は読んでいない。

クラシック音楽は静寂を求める不思議な音楽です。客席が静まり返っていることが重要。これはなかなかない、ものすごく特殊な音楽であり、文化であり、芸術であると思います。美術館でも静寂は求められますが、クラシック音楽ほどではありません。声を抑えて、ささやく程度なら問題ない。でもクラシック音楽の場合は囁きさえも、歓迎されない。

しかし、クラシック音楽のコンサートにおいて、明らかに人為的なノイズを完全になくす、あるいは可能な限り減らす、という努力はこれまでにいろいろなされてきましたが、完遂されることはついぞないというのが問題です。音は個人によって我慢できるレベルが違いますしね。

コンサート会場でもいろいろ対策がなされていますが、あれはほぼ全部、文句を言ってくる人たちのガス抜き、あるいは主催者からクレーマーへの「やっていますよアピール」なんですよね。根本的に解決してみせた人はいない。誰かいいアイデア持ってませんか!