ショパンの「3度の練習曲」といえばピアニストを志したことのある人にとってみれば鬼門の一つでしょうね。作品番号25の6。
3度というのは音程のことですよ。例えばドの音に対して3度上の音はミです。ドとミを同時鳴らすとハモって聞こえます。美しいですね。三度の音程を右手だけで、しかも絶え間なく超高速に弾く、というのがこの25の6です。
さあみなさん、机に右手を乗せて。
親指と中指で机を押さえる。次に人差し指と薬指で机を押さえる。再び親指と中指へ。この動き、一秒間に8回以上できますか。出来る方、次へお進み下さい。ほとんどいませんよね。普通の人は出来ません。
しかも、これをもっと複雑な動きにしたのがこの練習曲です。
どれぐらい難しいかというと「プロのピアニストでも弾けない人が多い」というぐらい難しいです。
例えばこれ。ジョセフ・レヴィーン、スヴャトスラフ・リヒテル、ジョルジュ・シフラの3人に弾かせたYoutubeの音源があります。聴いてみて下さい。3者共に高度な技巧を誇った人です。特にレヴィーンはこの曲の演奏に関しては「神」と言われるぐらい讃えられた人です。モノラルのよくない音質からクリアーな音が突き抜けてくる素晴らしい演奏。
しかしリヒテルが時折苦しいのがわかりますでしょうか。音が浮ついたり、和音が同時に鳴っていなかったりします。ではシフラは、といえば、期待に違わず下品に弾き飛ばしているYO!
で、アシュケナージ。今日は七夕ですが、昨日はアシュケナージの誕生日だったらしいんですよね。アシュケナージも79歳、来年80ですよ。うわー、って思いますよね。
アシュケナージはこの曲が得意だったんです。さすがに今、この年になっては弾けないと思いますが、若い頃の演奏を聴いてみて下さい。書かれている情報を信じるなら1960年、22か23の時の演奏。
やばいよこれ。パキーっと全部の音が聞こえる。和音もほぼほぼ揃っている。人間業じゃないです。
もっとがっつり聴きたいと言う方、ご安心下さい。この曲の演奏だけを30人分集めた1時間強のおばかなYouTubeもあります。これです。
アラウ大先生なんて、ああ、もう、おやめになって!という位もたもたしていてやばいです。アラウ先生ったらこんな曲も録音してたのね・・・。
そのほかYouTubeを見まくってみましたが、ポリーニ、リシッツァ、スルタノフ、トリフォノフも、キーシンも、ポゴレリチも△な場所があります。なので、現役ピアニストではアシュケナージが頂点じゃないですかね?
我こそはと言う方、ぜひ音源を教えて下さい。実は海老彰子がすごい、とかそういうコメントお待ちしております。(いや、ほんとうに海老彰子さんのショパンコンクールのライヴはいいですよ)