チョ・ソンジンにもっとも影響を与えたアーティストは誰か?

The Cross-Eyed Pianistという英国のブログサイトにチョ・ソンジンのインタビューが先月末に掲載されました。これです。

https://crosseyedpianist.com/2018/11/29/meet-the-artist-seong-jin-cho-pianist/

このブログサイトにはいろんなピアニストのインタビューが掲載されています。ただし、その人に合わせて質問を作っていくのではなく、同じ質問があってそれに答えてもらうというものです。多分ですけど、実際に会って話をするのではなくメールとかでやりとりしているはずです。

チョ・ソンジンはいま素晴らしく忙しい生活を送っているので、こういうブログサイトにインタビューが掲載されるというのは不思議な感じもしますが、掲載されたものは掲載されたんだから、読んでみました。

読んできました。

結論としまして、特段ものすごく面白い!という事が書かれているわけではない、のですが、それで終わってしまったら面白くないし建設的でもないので、心に引っかかった発言を拾ってみます。

What have been the greatest challenges of your career so far?

Maybe participating some competitions….. I wanted to play for audiences across the world and I thought winning the competition was the easiest way to reach that goal. And it was true, the Chopin Competition gave me a lot of opportunities, but I’m still against competitions. Many great musicians like Arcadi Volodos or Piotr Anderszewski didn’t win any competitions. The competition kills the musical idea, imagination and freedom. I felt so free after I won the Chopin competition because I realized that I don’t have to do this kind of thing anymore.

これまでのキャリアでもっとも大変だったことはなんですか?

コンクールですね。自分は世界中の聴衆の前で演奏したいと思っていました。そしてコンクールがそのゴールに近づく最も簡単な方法だと思いました。そしてそれは事実です。ショパンコンクールは沢山の機会を作ってくれました。しかし、コンクールには否定的に鳴らざる得ません。素晴らしいアーティストたち、たとえばヴォロドスやアンデルジェフスキはコンクールでの入賞歴がありません。コンクールは音楽的なアイデア、イマジネーション、自由をつぶしてしまいます。ショパンコンクールに優勝したととても自由に感じたのは、もうこういう事をしなくていいんだ、と思ったからです。

コンクールは本当に音楽家のキャリアを助けるためのものなのか、必要悪なのか、という事は、これからも常に考え続けなければなりませんね。永遠のジレンマです。

コンクールが一つの物差しになるのは事実ですが、それと同様に、コンクールとは無関係に、上の世代の音楽家達によって引き上げられチャンスを与えられて有名になっていく、というケースも多々あるからです。

Who or what have been the greatest influences on your musical life and career?

I would say meeting with many great musicians have been the most important influences on my musical life, people like Myung-Whun Chung, Radu Lupu, Krystian Zimerman, Mikhail Pletnev, Alfred Brendel, Murray Perahia and many others…..I learned a lot even while having a conversation with them.

あなたの音楽人生とキャリアにおいてもっとも影響を与えたものは何/誰ですか。

素晴らしい音楽家たちとの出会いが最も重要だと思っています。たとえばチョン・ミュンフン、ラドゥ・ルプー、クリスチャン・ツィメルマン、ミハイル・プレトニョフ、マレイ・ペライアなどです。会話をしただけでも学ぶところがありました。

チョン・ミュンフンの名前が最初に出てくるところは韓国人なんだし当然だとして、その次に出てくるのがルプーとツィメルマンというところに、チョ・ソンジンの好みというか、傾向がわかるような気がしますね。

それにしてもルプー、最近全然名前を見なくなりつつあります。

ヨーロッパで活動するピアニスト達からもルプーは最近あまり演奏をしなくなってきている、という情報が入ってきています。もしかすると遠からず引退するのではないか、とさえ囁かれています。

なので、ルプーの名前を見たらそのチケットは飛びついてでも買った方がいいのかもしれません。個人的にはこれまでたった1回しか、ルプーを生で聴くチャンスがありませんでした。

おっと最後はチョ・ソンジンとは違う話になって行ってしまいました。