批評家の存在意義ってなんでしょう。難しそうな顔で難しいことをいう人たち、という印象がありますけれど、批評家の文章って、読んでいる人がどれぐらいいるのかな、というのはちょっと挑発的過ぎますでしょうか?新聞にしても、雑誌にしても・・・。無茶言って申し訳ありません。
そんなわけでいきなり話を飛ばしますが、キャメロン・カーペンターという若くてパンクなオルガン奏者がいますね。アメリカ人です。ご存じないという方のために画像を上に貼っておきました。オルガンの上に乗っている。これだけで激怒する人もいそうです。まあまあ。
パンクです。服装というか、髪の毛が独特です。というか、モヒカンです。ランニングシャツです。身体鍛えてそうです。好きか嫌いかと言われれば、個人的には嫌いな出で立ちです。
オルガンの世界というのはピアノよりもお金が回っていません。身も蓋もないことをいってしまうと「需要がないから」です。オルガンのリサイタルに行ったことがあるという人の数はすごく少ないと思います。会場もだいたいガラガラなんです。オルガンのコンサートに行きたいという人の絶対数が非常に少ないのに、オルガンがあるのはだいたい客席数が多い大きなホールです。ガラガラの公演が多い理由も頷けます。
オルガンは楽器が巨大な分、設置には莫大なお金がかかります。でも、オルガンを積極的に聴きたい人って、どれぐらいいるんでしょうか。個人的にも、聴いていて・・・すいません、飽きます。ボワーっと鳴っている感じがどうしても好きになれません。オルガン関係者の皆様申し訳ありません。どうぞ私を思う存分殴って下さい。
そんななか、颯爽と?現れたのがキャメロン・カーペンター!パンクな格好とオルガン、という、これ以上ないぐらいのギャップを武器に、かなり注目を浴びたと思います。少なくともメディアからは。果たしてオルガンの救世主となりうるのか!!演奏も闊達で立派です。ピアノの曲をオルガンで、とかすごいテクニックだなと、まじめに思いました。
ツアリング・オルガンという名前の、謎の新楽器も作ってしまいました。これです。
でかい。スピーカーズラッと並ばせるんですね。これならオルガンが無いホールでも大丈夫さ!・・・・っていうか、めちゃくちゃ高そうです。誰がお金出したんだろう。
でも日本では確か何年か前にサントリーホールで演奏していますが(その時はホールのオルガン。まだツアリングオルガンはできていなかったはず)、その後音沙汰がないのは、やはり需要がない・・・・からなんだと思います。キャメロン・カーペンターをもってしても、需要の掘り起こしは出来なかったのです(過去形にするのはよくないか・・・)。
ツアリング・オルガンが救世主になるか?これを持ち運ぶのだって、相当なお金がかかると思うんですよね。本体とこのスピーカー群・・・・重量も相当なもんだと思いますよ。ピアノを運ぶよりも遥かに高く付きそう。
で、新しいバッハの作品集のCDがリリースされたようなんですが、イギリスの批評家ノーマン・レブレヒトの批評はわりとボコボコです。星二つ!(星五つが最高)。
評の最後に、「人生をすっかりかえてしまうぐらいの衝撃を受ける人もいるのかもしれない」と書かれていますが、それほどその数は多くはないかもしれません。
実際の演奏はこういうのとか。ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲をオルガンで解説しながら弾いてくれている。おもしろい。