カバッソさん、音楽の伝統を継承するってなんでしょう?

今日も練習中のカバッソさんを突撃訪問して、お話してきました。

伝統を継ぐこと

マリア・クルチオとの出会いを大切に思っていると語ってくれたカバッソさんですが、さらに一つ面白い話を聴くことが出来ました。

マリア・クルチオはアルトゥール・シュナーベル(1882-1951)の弟子でしたが、アルトゥール・シュナーベルの弟子として知られている「現役のピアニスト」をご存知ですか?

それは・・・・レオン・フライシャー(1928-。今年で88歳)です。つい先日も東京に来て、新日本フィルと共演してます。まだまだお元気ですね。

カバッソはレオン・フライシャーにも習ったことがあるそうですが、その時ものすごく驚いたそうです。なぜかというと・・・教え方、話の仕方、レッスンの内容、それがほぼ全くマリア・クルチオと同じだった、のだそうです!

なんということでしょう!!「それって時間の無駄じゃん」と思ったあなた。チッチッチ、まだ読みが甘い。ここからさらに話は続くのです。

「こうやって、ピアノ演奏にとって大切なことは過去から現代にまでずっと伝えられて来たんだな」と思ったのだそうです。これは大切にしていかなければならない、次は自分が、若い世代に同じことを伝えていかなければならないのだ、と強く感じた。ということなのだそうです。

重い言葉です。

ホロヴィッツの、感動的な間違いとは

ピアノを演奏するときは、大胆に弾いて音を間違える方が、慎重に弾いてつまらなくなるよりもずっとよい、のだそうです。ああー、わかるぅー、わかるわぁー。

「ホロヴィッツが長いリタイアの後、1965年にカーネギーホールに戻ってきた時、最初のバッハ(ブゾーニ編トッカータ)の冒頭で盛大に音を間違えたのだが、あれは何と感動的なんだろう、って思うんだよね」(※)。

この話を聞いて、日本人のよくない点を指摘されているようではっとしました。これってつまり、日本人が英語を話せるようにならないのはなぜか?それは、間違うことを恐れているから。これと同じことです。

間違った音にばかりに目をやりがちなのが日本のピアニストの問題点。もちろん間違いは少なければ少ないほどいい。でも、それが、慎重にやった結果のノーミスだったら・・・?(点数を引かれないという意味で)テストの点は高いかもしれないが、それは聴いていて退屈な演奏なんです。

これを理解している日本の演奏家(聴衆も)は少ない。このことを率先して生徒に教えている教師も少ない。ここの意識を変えることができれば、日本のピアニストは、もっと世界でも太刀打ちできるはずです!!うおお、日本ガンバ!!

・・・気持ちが乗ってきたところで本日はお開き。コンビニのカツ丼でも食べて、また練習しようぜ兄弟!!

(※)YouTubeでお聞き下さい