本日のブレンデルの言葉

今日は大変暑い水曜日なので、ブレンデルの言葉でも読んでお勉強しましょう。

音楽をやっている、あるいは音楽を学んでいる人間にとって大切なのは「常に自分の頭で考え続けること」です。学生の皆さんは、ついつい先生の言われたとおりに演奏する、あるいはいわれた事を可能な限り次のレッスンまでに完璧に実行に移す、ということを考えがちですが、それではいけません。

先生がいなくなったらどうする?違う先生に習って全く違うことを言われたらどうする?

この世の中には絶対はありません。音楽にも絶対はありません。こういう演奏が絶対だと言う人はまやかしです。嘘つきです。これがモーツァルトだといい切ることは間違いです。せいぜい、これがモーツァルトだと思う、ぐらいの感覚を持っていることの方が正しい。(これがモーツァルトだ、だからこう弾けと言い切ったほうが、教える方としてはたぶん楽なんですよ。でもそれは回り回って生徒の「自分の頭で考える能力」を養わないので、最終的な到達点は低くなる、と思います)

そういうわけです。どういうわけなのかわかりませんがともかく、本日はブレンデルの言葉を読んで、共に考えましょう。音楽とはなにか、伝統とはなにか。ブレンデルのように、伝統のど真ん中に生まれ育ったひとだからこそ言えるこの言葉。

“If I belong to any tradition, it is the tradition which makes the masterpiece tell the performer what to do, and not the performer tell the masterpiece what to do.’

「もしも私が伝統というものに属しているのであれば、その伝統とは、傑作が演奏家にどうするかを指示するというものであって、演奏家が傑作にどうするかを指示するものではない」

http://www.steinway.com/news/features/alfred-brendel-the-thinking-pianists-man

抽象的な言い方ですねー。しかしブレンデルは伝統を背負っている、という事を前提に、この言葉の重みを考えて、みなさんの今後のピアノ演奏へのヒントとして下さい。

我々日本人は、クラシック音楽という伝統からは遠く隔たっている、だから逆立ちしたってブレンデルのこの言葉みたいなことは言えっこないのです。それでは皆様またお会いしましょう。ごきげんよう。