ブレハッチの新しい録音はバッハ。2月10日リリース、映像も公開

ラファウ・ブレハッチ。ショパンコンクールの覇者です。その活動は、華々しさを追求するというよりも、じっくりと足を地につけて前進している、という姿勢です。好感が持てます。

コンクールで優勝してパーッと有名になるということの危険性をよく知っているのでしょう。言葉がよくないかもしれませんけれど、全てのピアニストには賞味期限がありますが、その賞味期限が一瞬で切れるか、長く持つのかは差があります。

もちろんピアニストであるからには華々しくて、それでいてかつ賞味期限が長いアーティストを目指したいものでしょう。だがそれは才能と運と努力がすべて揃って初めてロイヤルストレートフラッシュが起こるのであって、難しい問題です。ホロヴィッツだって浮いたり沈んだりしていたもんね。いやホロヴィッツの場合は自分自身の問題も大きかったのかもしれませんけど。

話がずれました。ブレハッチの新しいバッハの録音は来月、2月10日リリース予定。ドイツ・グラモフォンのサイトの詳細ページここ。わりといい仕上がりになっているのではないか、と思わせられるプロモーション動画が先週金曜日にYouTubeに公開されました。これ。まだ視聴数も300台。

おお、ブレハッチ健在であります。

ブレハッチ、いいピアニストですよね。押し付けがましくなくてほどよく自然体で。好きです。はい。そしてあと、身体弱そう、というところもポイントかもしれません。同郷の大先輩ツィメルマンも(ちなみに大先輩はブレハッチのことをとても気にかけていると聞いたことがあります)今でこそ健康そのものと言った見た目ですけど、若い頃は細くて、身体弱そうな感じがしましたよね。似てるのかな?

今回公開された映像でブレハッチが弾いているのはイタリア協奏曲。少し線が細いのはこれまでと同じ。でも意思の強さは感じますよ。グルーヴ感とか切れ味の鋭いリズム、そういうものは優先順位が低めでしょう。真面目に取り組んで細かいところまで丁寧に仕上げて来ている。装飾音はしっかりと上品に決めている。

俺が俺が、という過剰な自意識よりも、届けば手がとどくところにある名品、そんな親密さが嬉しいかも。