アシュケナージさんにきいてみよう!練習について

名ピアニストのアシュケナージのインタビュー動画が出ています。おもしろいインタビューだったので、適当に訳したり解説したりしながらご紹介します。英語でのインタビューですが字幕もついているので、ちょっとわかる方には動画を直接見ることをおすすめいたします。

練習について聴いている質問が最初にありまして・・・「練習から最大限の結果を引き出すにはどうすればいいですか」

これに対して、斜め上を行く回答をしてくれています。二分半かけていろいろと言っていますが、まとめるとおそらく以下の通りになります。

「自分の可能性を知ること。何日も何日も同じパッセージを練習して、それでも弾けなかったら、その曲は君のためのものではない。弾くのを諦めなさい。努力するだけ無駄です。他の曲にしなさい」

ああ、身も蓋もないアシュケナージ先生。でも面白かったのは、アシュケナージ自身が、世界中のピアノ曲の中でもっとも好きな曲だけど絶対に弾けない曲がある、それはリストのソナタロ短調だと言っている点。確かにアシュケナージのリストのレコーディングは見たことがないように思います。「冒頭わりとすぐに出てくるオクターブ連打が私には絶対に弾けなかった。なので私はあの曲は演奏しないのです。」と言っています。

そうなんですか。そこまで難しい連打ではないと思うのだがな・・・。と、思う人も、そう多くは無いかもしれませんが、おられることでしょう。アシュケナージはこうも言っています。「人によって手の作りはぜんぜん違うから」そう、アシュケナージならショパンの三度は抜群の精度で弾けるがリストのロ短調ソナタのオクターブは無理なのだ、ということなのです。逆の人の方が多いようにも思いますが、そう、違うんです。人によって手の作りは違うんです。

「難しいパッセージを素晴らしく演奏することよりも、一流作曲家の素晴らしい音楽を届けること、この事がもっとも重要なのです」というコメントも最後に出てきます。これはまあでもよく言われることですから皆様も耳にタコ状態かなとおもいますが、常に意識して起きたいことでもあります。

基本的な事に忠実、それがアシュケナージ式、なのでしょうか。それではまた。