アルゲリッチはキャンセル魔だ、という事を今でも言う人が結構いるのですが、意外にキャンセルしていません。特に、気分が乗らないとか、夫と喧嘩した、とかそういう、やるせない理由でのキャンセルはほとんどない。
アルゲリッチを知る人なら、彼女がリハーサルや舞台袖などでネガティブな発言を繰り返す事を知っています。どうしてもうまくいかないからキャンセルしたい、そういうことを言って周りをひやひやさせるそうですが、でも、そういうときでも、アルゲリッチの周囲の人たち、若いアーティストたち、彼女の事をよく知ったアーティストたち、あるいは関係者たちが、大丈夫!と、うまくとりなし、出演へとこぎつけるのだとか・・・。
いやはや、この、周りの方達にも多大なる功績がある、というべきでしょう。しかし、最近「深刻な健康上の問題」という理由で公演をキャンセルしたので、ちょっとばかし心配に思っていましたが、どうやら体調は戻ってきたようです。よかったですね。
で、最近デュオのパートナーとしてしばしば共演している幼馴染のバレンボイムと、今年もヴァルトビューネのコンサートに出演するよと宣伝がありました(バレンボイムのFACEBOOKページ)。
去年は二人のデュオ。今年はウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラとの共演だそうです。そう、アルゲリッチとバレンボイムは、去年もヴァルトビューネに出演している(という事を今さらながら知った)。そうなのか!ヴァルトビューネを知らない方のために書いておくと、ここはベルリンにある野外劇場です。ここで毎年ベルリン・フィルが野外コンサートを開くので、日本の音楽ファンの間でも知られている。
客席数もかなり多くて2万席を越しますから、通常PA(マイクとスピーカー)を使います。しかしPAと聞くと日本人のファンだったら何事か!と怒り出してしまうかもしれませんね。日本人のクラシック音楽ファンは生音至上主義の方も多いですから。
でも・・・音楽って、生音だけでしか楽しめないものではないですよね。その場にいあわせることなども含め、いろいろ複合的に愉しむもので、音響がよくなくても、そこにいるアーティストたちが素晴らしい演奏をしてくれさえすればある程度は満足、と思うのです。そこまで純粋主義にならなくても。ねえ。誰に同意を求めているのかわかりませんが。