アルゲリッチがケネディ・センター名誉賞を受けるという話はちょっと驚きでした。権威とか形式とかそういうのが嫌いかなと思っていたので、話があったとしても断りそうな感じがあるからです。
そしてワシントン・ポストに投稿されたこの記事によると、やはり最初は断ろうと思っていたそうです。ではなぜ受けることになったのか。それは娘から受けてほしいと言われたことが大きいそうです(アルゲリッチには3人の娘がいますが、誰に言われたのかは書かれていません。my daughterと単数形なので誰か一人が言ったのだと思われます)。
それからパールマンにも薦められたそうです。パールマンがアルゲリッチに言ったことには「楽しいから a lot of fun」だそうですが、なんだか間が抜けて響きますね。それがまた効果的だったのかもしれませんが。
というわけで無事昨日、授賞式が行われ、アルゲリッチも参加したようです。その模様の写真はこことかにあります。今年はアル・パチーノほかも受賞していますが、パチーノも老けたなー・・・。
アルゲリッチ本人はアメリカにはあまり貢献していないと考えているようですが、たしかにそんなにアメリカで活動しているイメージはありませんよね。でも2000年のソロ・リサイタルはカーネギーホールだったし、というのもあるかもしれません。
アルゲリッチはリサイタルをやらないと宣言していて、2000年にリサイタルを開催したのは、ガンのチャリティーとかいろいろ複合的な条件が重なってやることになったのです。ものすごく緊張したらしく、もう二度とやらないと言っていると聞いております。
それにしても上のワシントン・ポストの記事は面白くて、実はアルゲリッチはベートーヴェンが一番好きな作曲家だ、32曲あるソナタのうち弾かない曲もすごくたくさんあるけれど、とか、人前では絶対に演奏しないがベートーヴェンの協奏曲第4番がめちゃ好きだ、とかそういうアルゲリッチ・トリビアも書かれています。
プライベートな話では孫が6人いる、というのにも驚き。アルゲリッチ、うまく想像がつかないけど、おばあちゃんなんですね・・・。
というわけで最後にアルゲリッチの素晴らしくシャープな音源を一つ。シューマンのトッカータ(1960年録音)。世界一危険な作品の一つと言われる激ムズ作品をここまで高速でシャープに弾ける人はいません。