ベルギーで開催されるエリザベート国際音楽コンクールは、世界で一番権威あるコンクールの一つとして知られています。歌、作曲、ピアノ、ヴァイオリンとあって、年によって開催されるジャンルが変わります。知らない人も、ギレリスやらアシュケナージなどが優勝していると聞けばなるほどとうなずくでしょう。そもそもエリザベートを知らない人がギレリスやアシュケナージを知っているのか・・・。
このコンクール、新しくチェロ部門というのが出来たんですよ。今年5月に第一回チェロ部門が競われます。もうすぐ。若いチェリストというのは世界的にいまホットな感じ、優秀な人が次々現れているので、きっとこのコンクールも盛り上がることでしょう。
ということでコンクールのサイトを久しぶりにつらつら眺めていたのですが、おやおや、このサイトにも、いまはやりの(?)アーカイヴがあるではありませんか。
さすがにアメリカほど整然としていませんし、徹底度は高くないですが(失礼)、過去の画像、音源、映像などがちょっとずつ見られます。デジタル・アーカイヴというページ。オーディオ、ヴィデオ、写真、ドキュメント、と分かれています。一応サーチボックスもあるので、適当に名前を入れてみましょう。
はい、そういうわけでミケランジェリ。1938年の7位なんですよね。ミケランジェリの資料はあまりありませんが、ファイナルで弾いた曲目が掲載されていました。ミケランジェリは初見が得意じゃなかったので新曲課題で点数を落としたとか言われてます。だから7位に沈んだと。しかしこのプログラム、ショパンのスケルツォ2番とかドビュッシーの「水の反映」とか弾いてて面白い。若い頃から得意だったんですね。
mitsukoと打ってみましょう。1968年のファイナリスト、10位入賞なんですよね(今は12人のファイナリストのうち上位6人しか順位づけをしないがこのころはまだ12位まで出していた)。内田光子もファイナルのプログラムのみ。
ニコルスキー。1987年の優勝者。すごい期待されながらも95年に事故死している人。映像も音源もいっぱいありますね。
でも、最強だったのはアファナシェフのページでしょう。日本でも大人気、1972年の優勝者です。
上のリンクに、いくつかの音源とドキュメンタリー風の短い映像があるんです。この映像をぜひ、みなさんに観て頂きたい。ぜひ。
最初、とてもたくさん髪の毛のある人がショパンを弾くので「あれっ?」と思いますが別人です。確かアファナシェフはチャイコフスキーの第1番だったはず。と思って我慢して見ていくと、出て来ます。はい。
フランス語で、しかもかなりたどたどしいロシアなまりのフランス語で、かつナルシスト風全開な感じでインタビューに答えている(インタビュアーも怪しいフランス語だ。フラマン人でしょう)。演奏姿もかなりキモ目!(失礼。けなしているわけではありませんよ)。
そして、何よりも最強に気持ち悪いのは(けなしていません。念のため。)演奏終了後に、多分舞台袖でママ?もしくは先生?とおぼしき女性に抱きかかえられ、胸に顔をうずめられ、頭をなでられ、ハンカチで顔をなでられて、目を瞑っているギリシャ悲劇の主人公のようなその御姿。
アファナシェフ選手・・・いいのか。テレビにこんな姿を撮らせて。・・・アファナシェフは、裏切らない。演奏も著書も、見た目も相当いかれているけれど、これからもぶれない「いかれ路線」を邁進して欲しい、と強い確信を抱いたのであった。なお、今年で70歳になります。
アファナシェフ最高だぜ!