待ち構える「衝撃」
なるほどわかりました。そういうテーマなんですね。 と思って最初の変奏を待つわけなのですが、いきなりの変化球が脳天を直撃する。我が耳を疑うことになる。
なんじゃこりゃ。テーマと全然違う・・・!思いっきり虚をつかれるわけです。さすが天才です。でもこれを天才の所業と言っていいんでしょうか、びびります。めちゃくちゃ違う。「ごめんで済んだら警察はいらないんですよ本当に」と詰め寄って諭したくもなる。
変奏曲って、なんかこう、シンプルなものに装飾を加えていって、ゴージャスにしていくものなんではないのか。切って四角くつなげただけの額縁がやがて、美術館の豪奢な額縁へと変化していくんじゃないんですか。
しかし、そもそもテーマ自体が抽象的でメロディーがあるわけでもない。小手先の装飾なんてしたところで面白みがあるわけではない。ならば思い切って誰もやったことがないことをしていこうぜと、こういうことでしょう。
それにしてもこの変奏、なんかやたらと堂々としていて、かっこつけてますよね。
この懐かしい感じ、これこそが夏休みの思い出
そう思いながら聞いているうち、おや?と思うことになる。・・・なんだろうこの懐かしい感じは?、、、、、そうか・・・ラジオ体操だったのかこの曲は・・・。
・・・おいっちに、おいっちに。そう。聞こえてくる夏休みの朝のあの思い出・・・みんなで眠い目をこすりながらやったラジオ体操。いやいや、懐かしい。おいっちに、おいっちに。ちゃんと手足を大きく動かして!!
いきなり堂々たるラジオ体操を書いたルートヴィヒに感謝したい。心の底から。第一変奏からしてがもう、素晴らしい感動が待ち受けているのです。
あと32回も感動させてくれるなんて、やだ、ルート―ヴィヒったら!バンバンバン!ギャルに叩かれ、顔を紅くして喜ぶおっさんベートーヴェンの姿が思い浮かぶようだ。
それでは第一変奏をお聴き下さい。演奏はブレンデルです。
クリックすれば第一変奏が始まります。2分47秒ぐらいまで。