内田光子インタビュー抄訳。今月70歳を迎えるにあたり英国ガーディアン紙に掲載。

内田光子は今月70歳を迎えるという事に軽く驚きました。もう光子70なのかよ(知り合いでもなんでもないのになれなれしくてごめんなさい)。

それを記念してっていうか、たぶん節目の時だし、ってことで内田光子のインタビューが英国の新聞ガーディアン紙に掲載されています。面白かった点をご紹介。

https://www.theguardian.com/music/2018/dec/04/mitsuko-uchida-pianist-schubert-mozart-70th-birthday-interview

・これまでドイツ音楽(バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト)に人生の多くをささげてきたが、今後、レパートリーを広げる計画を持っている。とくにショパン(!)そしてヤナーチェク(!!)を弾きたいと思っている。

みなさんすっかり忘れているかもしれませんけど、内田光子はショパン国際コンクールで第2位に入ってるんですからね(1970年。優勝したのはギャリック・オールソン。日本ではオールソンほぼ全く人気ないですけど英語圏では素晴らしく高く評価されているピアニスト)。あとヤナーチェクっていう名前が出てきたところに驚き。でもヤナーチェクの名前が内田光子の演奏を通じてもっと日本でも広く知られるようになればいいと心から思います。

・コンサートは年間に55回を上限としていること。100回とか140回とか、正気の沙汰ではない。私には無理。昔バシュキロワ(バレンボイムの妻)に聞いたことあるんだけど、バレンボイムにとってコンサートのない日は罰ゲームみたいなものらしい。私は自由に息をつける大切な日です。

でも55って不思議な数字っすね。1年間は52週だからだいたい平均して1週間に1公演、プラス余分に弾いていい日が年に3日だけあるっていう計算。すごい個人的な納得の理由があるのでしょうかね、55という数字に。もしくはラッキーナンバー?・・・もしくは松井秀喜ファン?Mitsukoは熱海出身だし巨人好きでも何の不思議もないね(冗談です、念のため)。

・・・っていうかバレンボイムは毎日コンサートしたい、ということの方がむしろ驚きですわ。やっぱバレンボイム化け物ですね。すごい精神力と体力。ゲルギエフ先生と並ぶ世界の化け物シリーズ。

・コンサートは楽しんでいる。演奏中はプレッシャーを感じることなく、音楽を聴くことさえできる。でもステージ上をピアノに向かって歩いているときは別。その瞬間は「真実の瞬間」です。

ここのところがやや難解な言い回しをしているので全文貼り付けてみますね。

“That’s the moment of truth. All the rest is pretending. That’s why you have to perform. You work differently. You learn different things. You have to risk your life on stage. That’s why live performances are more interesting.”

「それは真実の瞬間です。そのほかのすべては偽物なのです。それこそが、演奏をしなければならない理由なのです。違ったやりかたで仕事をする。違った事を学ぶ。ステージ上では人生をリスクにさらさなければならない。これこそがライブ演奏をより興味深いものにする理由です」

えっと、簡単に上の意味を要約すると「やっぱみんな舞台に立つのは怖いんだぜえ?」ってことになるんだと思います。