バルトークは、コンクールは馬のためのものだと言った

バルトークって不思議な存在ですよね。民謡収集家。それを自作に仕立て上げた名人。しかも独自の美意識で、ぎりぎりと万力で締め上げたような音楽で甘さを排除。人間的にも難しい人だったらしく、晩年のアメリカでも苦労をしたとか。

そのバルトークの言い放った短い警句を本日はお知らせ。

「コンクールは馬のためのものであり、アーティストのためのものではない」

コンクールを否定している。そうです。コンクールはアーティスティックではないのです。コンクール、反対!!!

・・・でもちょっと待て。バルトークだってコンクールに出ているんですよね若いときに。天才少年だったバルトークは、ルービンシュタイン国際コンクールに出ています。そして、見事に第2位を勝ち取ったわけですが、それでもなおコンクールをこのように否定しているというのは面白いですね。いやむしろ2位だったからこういう発言につながったのか?

このバルトークの発言がいつ頃のものかはわかりませんけれど、自信のコンクール時の経験を含めてこう言ったのかもしれませんね。バルトークはコンクールの審査員をすることがなかったと言われていますが、断る理由がこれだったのかもしれません。

でもいまバルトークの名前を冠したコンクールが祖国ハンガリーで開催されているというのは、それはそれで皮肉ですね。コンクールって、本当に微妙な存在。必要悪なのか、町おこしなのか。本当に才能ある人が出てくればいいですけれど、そうでないケースも多々ありますし、「高輪ゲートウェイ駅」みたいな、大多数の人が想像すらしなかったぞっとするような結果が出ることもありますしね。そしてコンクールの結果はその若いアーティストに常に付いて回る危険性もあるわけですからね。もう今さら高輪駅には変更出来ないのだ。ああ。

・・・話がずれました。最後に蛇足。ご存知の方も少なくないと思いますが、バルトークが二位だったそのコンクールで優勝したのは・・・・・バックハウス。

なるほど納得。