ルール・クラヴィア・フェスティバルからの8月28日付けのニュース。今夜(2018/9/3)予定されていたポリーニの公演がキャンセル。
Aufgrund eines leichteren Unfalls sah sich Maurizio Pollini gezwungen, sein inzwischen auf den 3. September 2018 verlegtes Konzert in der Historischen Stadthalle Wuppertal abzusagen. Ursprünglich war Pollinis Auftritt beim Klavier-Festival Ruhr 2018 bereits für den 30. Mai 2018 geplant. Intendant Franz Xaver Ohnesorg hierzu: „Nach drei vergeblichen Anläufen müssen wir einsehen, dass wir für ein Konzert mit dem inzwischen 77-jährigen Maestro Maurizio Pollini zur Zeit keine realistische Chance haben, da ihm sein Arzt erneut eine 15-tägige Ruhepause verordnet hat.“
つまり、もともとこの公演は5月30日に予定されていたけれども、小さな問題があって9月3日に延期せざるを得なかった。しかしこのたび77歳のマエストロ15日間の休養が必要であると医師の診断を受けた。
といった事を音楽祭のインテンダントが言っております。
ポリーニももう、ほんと、何年も、ぼろぼろの状態で世界を回っていますね。さすがにそろそろやめればいいのに・・・。もう休ませてあげて。
それにしてもこれ、なにか思い出しませんか・・・・。そう、日本にも同じような状況、もしくはより良くない状況の、小澤征爾がいるじゃないか。
小澤征爾さんもキャンセルしまくりです。今年の夏はサイトウキネンのコンサートがキャンセルになったのに続き水戸室内管の公演もキャンセル。このキャンセルは8月28日に発表されていまして、奇しくもポリーニのルールのキャンセル告知と同じ日であります。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180829/soc1808290015-n1.html
なぜ体調が万全でないのに公演を企画し、キャンセルを繰り返すという事を・・・とめられないのか・・・・。
それはやはり、アーティストに名前があるから、という事が一つの要素です。ファンがいっぱいいるからチケットが売れるだろう、ということ、それに加えてこういうビッグネームが音楽祭などにいた方が世間から注目されやすくスポンサーが付きやすいから、というけっこう生々しい理由もあります。世の中ゼニですよゼニ。スポンサーがなくてさらにチケットも売れなかったらコンサートできませんからね。
それから本人の意思。やりたい、という意思、これも一つの要素。ポリーニも、小澤征爾も、けっこうな数の周りの人が、もういいじゃんやめても、と思っているかもしれませんけれど、本人がやる、と言う以上、あえてそこをやめましょうといえる人はいないのではありませんか。なかなか正面切って「辞めましょう」とは言えません。その点さっさと引退したブレンデルは立派だったと言えるのかもしれません。
いや、でも日本人に限らず、老いた人をリスペクトする気持ちは誰しも持っていて、長年世界の一流を突っ走ってきた人であれば、冷静に聞けば演奏が例え聴くにたえないほどにひどくても、かえってそれがゆえに感動する、という事もあるのです(指揮者の場合は演奏はしないですからぼろぼろにはなりませんけれど)。ぼろぼろの音楽の裏にあるストーリー、その人の人生、過去の栄光を聴いて感動するのです。それもまた音楽ですし、間違いではないといえる。
なお、ルール・クラヴィア・フェスティバルでポリーニのピンチヒッターを務めるのはイゴール・レヴィットだそうです。