中村紘子の人生とはなんだったのか

中村紘子の本を読みました。なくなったあと初めて出た伝記。著者は生前何度もあったことがありいろんなオフレコ話も聞いたという。これが面白かったのでみなさまにもおすすめ。

キンノヒマワリ(集英社)
http://gakugei.shueisha.co.jp/kikan/978-4-08-781647-1.html

中村紘子という存在がいかに日本のピアノ界にとって大きな存在だったかがわかる。 裏話とか著者のブログでも読めるのでそちらも合わせてお読み下さい。

http://www.piano-planet.com/?cat=18

彼女がヨーロッパに残る決意をしなかったのは正しかったのだろうか?と思うことはあるのですが、切り込み隊長的な存在として日本から発信し続けた功績は大きい。ヨーロッパの教育界でも存在感を示してましたし何よりも様々なコンクールでの審査員としての活躍は特筆すべきものだったのだと思います。

日本のピアノ界、とくに教育界においては中村紘子を越える存在がいない、今後も出ないかもしれないと言うことをわりと絶望的な気分で思い知らさせてくれる本でした。日本の若いピアニストの皆さんはぜひ小粒化することなく、大物になる事を目指してほしいです(威張るって言う意味ではなく、演奏がすごいという意味での大物)。

私も若い頃は反発心から中村紘子なんて、と思っていましたし「彼女は最低の政治家だ!」と吐き捨てるように言ったアメリカのピアニストも知っていますが、やはり特別な人だったのかなとある程度年を重ねるようになってからは思っています。汚れ役も引き受けた(?)そのでかい器量はなかなかまねできない。

それに著書がめちゃくちゃ面白いしね。中村紘子の本ってものすごい面白いんですよ。このブログを読んでしまったみなさんも絶対に全部読破してね。

常々思っているのですが、日本の若くて才能ある人は世界を目指してほしい。日本でちやほやされても、世界の演奏家には全く太刀打ちできない、そんななさけない現状は打破しなければなりません。これは大変難しい事ですが、そういうスタンスで貪欲に学び、前進して欲しいなと思います。中村紘子という存在が過去のものへと、遠くへ霞んでしまうような、ものすごいピアニストが一刻も早く出て来ることを期待します。

日本一は当たり前、世界のトップを目指す。そんなスタンスで才能ある人には頑張って欲しい。以上。ねもねも。