イゴール・レヴィットがスタインウェイ・アーティストに

イゴール・レヴィットがスタインウェイ・アーティストに

“The one instrument, which allows me to sound most like myself.” Igor Levit – February 2018

「私自身にもっとも近い音を出してくれる、ただ一つの楽器」イゴール・レヴィット、2018年2月

レヴィットがスタインウェイアーテになった、とアナウンスがありました。おめでとう!コメントがいかしてる(格好つけてる)ね!

それでスタインウェイ・アーティストって何?すごいの?

というわけでお教えいたしますが、スタインウェイ・アーティストは世界中にものすごい数いまして、そこまで意味があるものではない、というのがたぶん実情。

http://www.steinway.com/music-and-artists/solo

このリストを見てくださいよ。1600人もいるんですって。上からずらっと並ぶ名前を見て何人わかる、と言えますか。知らない人だらけじゃないですか。もちろん超有名人もいますが。

スタインウェイ・アーティストになるとスタインウェイのサービスを受けられるんですが、コンサートでは出来る限りスタインウェイのピアノをひくことを求められます。例えばウィーンで素晴らしいベーゼンドルファーに出会ったからと言って軽々しくじゃあ今夜はこれ弾くわ、とは言えないのです。

その会場にスタインウェイがあったら、スタインウェイをひかなければならないのです(裏を返せば、そこにスタインウェイがなければそれを弾いていいのですが、そういうことはこの世の中のコンサートホールにおいてはあまりない)。面倒です。

トリフォノフはスタインウェイ・アーティストだがファツィオリを好んで弾いている?そう、そこまできつい縛りはないのかもしれません。でももしかするとそれはトリフォノフだから許されるのかもしれませんがね。

無名の(といっては失礼かもしれませんが)スタインウェイ・アーティストもたくさんいるので、そういう人がヤマハとかを使って、後でバレたらやっかいな事になるのかも。

でもスタインウェイ・アーティストというタイトルにあまりすごい付加価値がある、というわけでもないので(数が多すぎる)、そこまでこのタイトルにこだわる必要はないのかもしれませんね。むしろレヴィットのケースは、スタインウェイにとって付加価値がある出来事でしょう。