天才少年、天才少女の行く末。日本人ピアニストは上昇への絶えぬ努力がもっと必要。

「神童」と呼ばれる人たちがいる。ピアノの世界でも、若い頃から恐ろしい才能を示し、十代の前半にはたとえば、もうショパンの練習曲を全部弾ける、とか、バッハの平均律が全曲弾ける、とかそういうとんでもない才能を持っている人たちがいる。

今日、映像を見ていたのはアメリカ人の11歳のピアニスト、Gavin George ゲイヴィン・ジョージと読むのかな?の演奏だ。この年齢にしてすでに、ツィメルマンやアックスの所属するアメリカ大手の音楽事務所Opus 3 Artistsと契約をしている。驚きだ。

このYouTube映像はメンデルスゾーンのピアノ協奏曲だが大変良く弾けている。さすがに身体ができていないから音はまだ痩せていそうだが。椅子が曲がっているのはご愛嬌!

すごいな。と思う。羨ましいなその才能は、とも思う。

でも、こういう才能の持ち主が、将来大ピアニストになれるかどうか、と問われると、残念ながらそうならないケースも多いというのが実情だ(Gavin君がそうならない、と言っているわけではない)。

ピアニストの才能は2つのタイプに分かれる。若い時から爆発的な才能を示し、その余力で活動を続ける人。じわじわと来て60前後にピークを持ってくる努力型。

神童はもちろん前者だが、爆発的な才能が残念ながら持続しないことも多い。それが「20歳過ぎたらただの人」と言われたりする所以である。

そして日本のピアニストはどちらかと言うと残念ながらこういう結果になるケースが多いように思う。若い時に素晴らしい才能を示すが、それが持続しないのである。どうしてだろう。(内田光子は偉大な例外)

日本人ピアニストは若い時にコンクールで上位に入ったりしても、30,40,50代と進むに連れ、成長が鈍化してしまう傾向があるように思う。

実に残念だ。

昨晩の情熱大陸で採り上げられた小林さんも、天才少女と言われた存在だが、まだ二十歳。今回の挫折をバネに、登っていけるピアニストになってほしい。次の世代が出たら消えていくような存在になってはいけない。

そして今後どうなるかは、本人の意思や努力にほぼかかっているのだ。いやいや、余計なお世話だ、と言われるかもしれない。そう、余計なお世話なのは百も承知なのだが。