リーズ国際コンクール前回と前々回の優勝者は誰ですか?言える人はいますか。言えたあなたは相当なピアノオタクです。すぐに病院に行って治療を受けることをおすすめいたします。
前々回はフェデリコ・コッリ、前回はアンナ・ツィブレヴァという人が優勝しているんです。その前はソフィア・グリャクでその前がキム・ソヌクでアンティ・シーララでアレッシオ・バックスでイリヤ・イーティンでその前がリカルド・カストロです。すらすら言えてしまいました。さて、その前回優勝者のツィブレヴァですが、この人がPianist Magazineというピアノ雑誌のインタビューに応えており、その中でアマチュアピアニストへのアドバイスを求められていました。該当部分を訳して日本のピアノファンの方にもお伝えいたしたいと思いました。
質問「アマチュアピアニストへ、上達のこつを教えてください」
答え:いい先生に習ってください
いや、身も蓋もない解答。素晴らしく一刀両断。ばっさり言っているのでなんじゃこりゃと思われる方も多いかなと思います。というかほとんどの方がなんじゃこりゃと思うのではないかと。
しかしいい先生に習うというのはなかなか難しいことですね。特に日本では師事する先生を変えることに相当な抵抗感があります。変える方も、変わられる方も。「根性」とか「頑張り」が評価される傾向にあることもあって、先生を探す(先生を変える)という行為はあまりいい目で見られません。
しかし、人間なのですから相性というものもあります。習っていて全然上達しない、あるいはうまく合わないと思う先生にずっと習い続けるのはよろしくないです。もうちょっと頑張ってみなさいよ、と言うことよりも、もしかして他の先生のほうが良いのでは?と考える事のほうが難しい。現状維持のほうが楽だし、軋轢もうまないし。
大切なのは、先生から言われることを鵜呑みにするのではなく、言われることの裏側にはどういう意図があるのか、などとしっかり考えることですね。言われていることに納得できるのであればよし、でも、納得出来ない、そういう事があまりに続くのなら・・・行動を起こしたほうがいいかもしれませんね。
いきなりですが、たとえば為末大さんの本とかコメントとか、とてもいいと思うんですよ。ピアニストを目指す人に特に読んで欲しい。読んで人生に対する考えを深めてください。
頂点にたった人は努力したから立つことが出来たと言うが、努力をしまくっても頂点に経てなかった人のほうがはるかに多いという事実を忘れてはいけない。生まれつきの才能があるという事実。
とかいうことを為末大さんは書いていて、悲観的にすぎるか、と思うこともありますが、ご自身が栄光とか挫折とかを味わった人だけに相当な説得力があります。
ピアノ上達のためには「いい先生に習うこと」。ツィブレヴァ心の片隅に置いておくとよいと思いました。