ミュンヘン国際コンクール。ARDと略して言うこともあります。
一時期は「一位を滅多に出さないコンクール」として知られたコンクール。その来年のコンクール詳細が今月15日に発表になっていました。確かこのコンクールは2000年前後から1位を原則的に出すという風に方針が転換したみたいです。・・・・んが、またその方針がかわったのか、1位が出にくくなっているみたい。
1位を出さない、というのは、このコンクールに限ったことではありませんが、特にこのコンクールでは有名でした。どうして1位を出さないのか?それは「もっともうまかった参加者でもコンクール1位にふさわしくない(高いレベルに到達していない)」と審査員が判断するからなのです。
それについて批判をする人もいます。アンドレ・ワッツはもうそれこそ怒り心頭、ぐらいの勢いで1位を出さないなんてとんでもない!どんだけみんな苦労して準備しているのか判っているのか!コンクールは一体何様のつもりか!とかいうような事を、むかし言っていたように思います。
でも世の中に一つぐらい、1位を滅多に出さないへんてこなコンクールがあってもいいんじゃないの?と個人的には思います。
ミュンヘン国際コンクールはすごいたくさんの部門があり、毎年3,4の違う部門を開催しているのですが、そう、来年はピアノ部門があるよ。審査員も発表になっている。
ブルーノ・カニーノ Bruno Canino (Vorsitz)
イディル・ビレット İdil Biret
セシル・リカド Cecile Licad
アンヌ・ケフェレック Anne Queffélec
ヘルベルト・シュフ Herbert Schuch
タマラ・ステファノヴィチ Tamara Stefanovich
http://www.br.de/ard-musikwettbewerb/jury/index.html
審査員が発表されると、出場を考えている人がその審査員のところに大挙してレッスンに詣でる(名前と顔を知ってもらって高得点を狙うため)そうですが、いい子のみんなは真似しないでね!
ピアノ部門の過去の入賞者リストが知りたいという方、ここにあります(リンク先ページの左下にあるHerunterladenというボタンを押せば出て来ます。pdfファイルです)。
見て頂ければおわかりになるとおり・・・難関と言われるのですが意外に著名な名前がない・・・のですよ。イングリッド・ヘブラーとかクリストフ・エッシェンバッハとか、チョン・ミョンフンとか、ですかね。
http://www.br.de/ard-musikwettbewerb/preistraeger/preistraeger-pdf124.html
ピアノのコンクールは、本当に難しいですね。そのとき良かった人が登っていくとも限らないし、本当に才能のある人が上位に入賞するとも限らないし。難しいと言われるコンクールでもコンサート界に生き残っている人はほとんどいない・・・。つらい・・・。
というわけで気を取り直して課題曲をざっと訳しましてずらっと並べておきますので興味のある方はぜひ。申込デッドラインは2017年3月30日(必着)。コンクールは2017年8月28日から9月15日までだそうです。どこからどうやって申し込むのかは見つからなかったですがそのうち発表されるでしょう。
■音源による事前審査:
a) JOSEPH HAYDNかWOLFGANG AMADEUS MOZART,
上記作曲家のソナタ1曲
b) 練習曲1曲、ただしコンクールで演奏しない曲
■第1ラウンド (max. 25分)
1. DOMENICO SCARLATTIのソナタ1曲。3分以内のもの
2. JOHANN SEBASTIAN BACH, 平均律クラヴィア曲集第1巻、第2巻より前奏曲とフーガ1曲、7分以内。
3. ショパンの練習曲1曲:Op.10-3,6 およびOp.25-7は除く
4. 以下より1曲
LUCIANO BERIO, Sequenza IV
PIERRE BOULEZ, Incises
ELLIOT CARTER, Intermittences
BEAT FURRER, Studie fur Klavier
GYORGY LIGETI, 練習曲、ただし「Arc-en-ciel」 と「En suspens」を除く。10分以内
SALVATORE SCIARRINO, Notturno Nr. 3
JORG WIDMANN, 11 Humoresken für Klavier (10分以内
■第2ラウンド (max. 55 分)
5. 以下より1曲
ISAAC ALBENIZ,イベリアより組曲1つ
ALBAN BERG, Sonate op. 1
BELA BARTOK, Sonate Sz 80 (1926)
BELA BARTOK,野外にて, Sz 81
CLAUDE DEBUSSY, 映像, Heft 1 oder 2
CLAUDE DEBUSSY, 版画
CLAUDE DEBUSSY, 前奏曲3曲
SERGEJ PROKOFJEW, ソナタ第3番 a-Moll, op. 28
もしくはソナタ第4番 c-Moll op.29
OLIVIER MESSIAEN, 前奏曲4曲
MAURICE RAVEL, 鏡 より3曲
MAURICE RAVEL, 高雅にして感傷的なワルツ
ALEXANDER SKRJABIN, ソナタ第4番から10番までの1曲
ARNOLD SCHONBERG, 5つのピアノ小品 op. 23
6. LUDWIG VAN BEETHOVENのソナタ以下より1曲
op. 10 Nr. 3 D-Dur
op. 31 Nr. 1 G-Dur
op. 31 Nr. 2 d-Moll
op. 31 Nr. 3 Es-Dur
op. 53 C-Dur
op. 57 f-Moll
op. 81a
op. 101 A-Dur
op. 109 E-Dur
op. 110 As-Dur
7. 以下より1曲
JOHANNES BRAHMS, ソナタ第2番 fis-Moll, op. 2
JOHANNES BRAHMS, ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ op. 24
JOHANNES BRAHMS, op. 116 もしくは op. 117全曲
FELIX MENDELSSOHN BARTHOLDY, 厳格な変奏曲 d-Moll, op. 54
FRANZ SCHUBERT, さすらい人幻想曲 C-Dur, D 760
FRANZ SCHUBERT, ソナタ a-Moll, D 537 もしくは A-Dur, D 664 もしくは a-Moll, D 784
ROBERT SCHUMANN, ソナタ g-Moll, op. 22
ROBERT SCHUMANN, 交響的練習曲 op. 13 (1852年版)
ROBERT SCHUMANN, フモレスケ B-Dur, op. 20
ROBERT SCHUMANN, ウィーンの謝肉祭への道化 op. 26
FRANZ LISZT, バラード第2番 h-Moll
FRANZ LISZT, 「泣き、嘆き、憂い、おののき」変奏曲
FRANZ LISZT, ペトラルカのソネット3曲
■セミ・ファイナル:ミュンヘン室内管と (指揮者なし)
8.WOLFGANG AMADEUS MOZARTの以下の協奏曲1曲
KV 414
KV 415
KV 459
KV 488
9. PASCAL DUSAPIN, ピアノ作品 第1番 「Did it again」
コンクールのための委嘱作品。楽譜を見て演奏可。コンクール前にコンサートなどで演奏しないこと
■ファイナル (バイエルン放送響と共演)
10.以下の協奏曲から1曲
LUDWIG VAN BEETHOVEN, 第3番 c-Moll, op. 37
LUDWIG VAN BEETHOVEN, 第4番 G-Dur, op. 58
ROBERT SCHUMANN, a-Moll, op. 54
FREDERIC CHOPIN, 第2番 f-Moll, op. 21
PETER TSCHAIKOWSKY, 第1番 b-Moll, op. 23
委嘱作品を除き、全ての作品は暗譜で演奏しなければならない。
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以上。
うん、最後の協奏曲がちょっとひねってありますかね。皇帝とかラフマニノフとかプロコフィエフとかが入っていない。