来年はディヌ・リパッティ生誕100年だああ。

来年の、アニバーサリーイヤーな作曲家は誰だろうと思ってこういうところとか見てみましたが、モンテヴェルディとか、テレマンとか、コダーイとか、あまりピアノには関係のなさそうな名前が並んでいます。

グラナドスの名前もあって、この人はさすがにピアノ曲もたくさんありますが、グラナドスだけのコンサートが聴きたい!グラナドスが待ち切れねえ、っていうチャキチャキな子が日本全国にいったい何人おられますでしょうか。100人?150人?もしかして80人ぐらいいるかな?(減ってる)

なので、ちょっとこう、来年は記念イヤーなピアノの演奏会というのは、やりにくいかもしれませんね。蛇足ですが2018年にはドビュッシー、クープランという、フレンチの大物が控えてます。

じゃあ、アニバーサリーイヤーなピアニストでは誰がいるかなと思ったのですが、スコット・ジョプリン(没後100年)、セロニアス・モンク(生誕100年)などジャズの巨匠に並び、ディヌ・リパッティ(Dinu Lipatti 1917-1950、ルーマニア)の名前があるじゃあないか!

ディヌ・リパッティは、ルーマニアが誇る天才中の天才。今なお、世界のピアノファンを熱狂させてやまぬ夭折の名手。録音も、モノラルながら何種類もあって、ブザンソン・リサイタルとかたまらんですよ。知らない人はまずWikipediaを、それからYouTubeをご覧下さい。

ちなみに上の写真はリパッティ夫妻。1950年。リパッティ死の年、ブザンソンで撮られたものだそうです。リパッティったら、シャツの襟がジャケットの外に飛び出しちゃってるぞ。うっかりさんなんだから!

どうやらリパッティには世の中に出ていない音源があるらしいんです。来年はそういうのが発掘されて、世に出ることになるかもしれませんね。

と言いますのも「音源は奥様が厳格に管理していた」とかいう話をどこかで読んだ事があるから。という事に加え、つい先日あるドイツ人ピアニストから「リパッティの未公開音源を聴いた」という話を聞いたから、なのです。

ええ、ええ、ぞわっと背中が逆立ちしたような気分になりましたよ。「カナダで、友人のコレクターが所持していて、それを聞かせてもらったが、ブラームスの119-3が入っていたよ。あれは間違いなくリパッティだった」、と言う。ああ、ブラームスの、あのハ長調のやつ・・・と答えてから、ぞわっと電流が背中を流れた気がしました。

あの、天国のように屈託のなく素晴らしい小品119-3「インテルメッツォ(間奏曲)」を、どのようにリパッティが弾いたのか?聴いてみたいことおびただしいではないか・・・。

ブラームス:インテルメッツォ Op.119-3はこれ(演奏はケンプ)

もしかして新発見音源として来年発表される事があるのだろうか?もしくは、コレクターが、コレクションとして個人的に所持しておくのだろうか。

いずれの結末になるにせよ、夢のある話だと思われないだろうか。