イングリッシュ・ナショナル・オペラという名前をご存知の方はそれなりにオペラ通な方でしょう。ロンドンのオペラというと日本で知られているのはロイヤル・オペラだけ。イングリッシュ・ナショナル・オペラには日本人の姿はほとんど無いそうです。
ロイヤル・オペラの指揮者は長らくパッパーノである事を知っている人は多くいても、イングリッシュ・ナショナル・オペラの指揮者がエドワード・ガードナーであることはほとんどの人が知らないでしょう。ってかガードナーって誰?状態でしょう。
ガードナー、渋メンのイケてる男性。日本にも来たことがあるんだぜえ?
イングリッシュ・ナショナル・オペラは英語での歌唱が基本。イタリアオペラも、ドイツオペラもみんな英語だ。そういう意味ではベルリンのコーミシェ・オーパーとも通じるものがありますよ(コーミシェ・オーパーではどんなオペラでもドイツ語での上演が基本)。
コーミシェ・オーパーもベルリンで3番手のオペラハウスとか言われますが、今度ベルリン・フィルの芸術監督に就任するキリル・ペトレンコが指揮していたことでも知られている凄い実力を持ったところなんです。
なので、ガードナーも凄い指揮者として今後ガッと前が出る可能性もある・・・かな?
ま、そういうわけでイングリッシュ・ナショナル・オペラがヤマハと提携したそうです。
ニュースはここをお読み下さい:
https://www.pianistmagazine.com/news/general/yamaha-to-become-enos-official-piano-partner
劇場の公式サイトは:
https://www.eno.org/
正式にはオフィシャル・ピアノ・パートナーになったということだそうで、劇場にピアノと調律などの技術を提供する、というようなことでしょう。
でもオペラとピアノってあまり関係ないんじゃないの?と思ったあなたは大間違い。
オペラではピアノはめちゃくちゃ必要。特にリハーサルの時に必要。最終的にはオーケストラでリハーサルをするのですが、そこに至るまでピアノで何回も何回もリハーサルをするんですよ。なのでピアノは必須なんですね。
そしてオペラで働くピアニストは、皆さんが考えるような「ソリスト」「室内楽奏者」ではなくて、オペラの裏に徹した「スーパー職人」です。
どうスーパーなのか。
歌手の気持ち、コンディションがわかり、それに合わせて弾き方を変えたりアドバイスができて、歌い間違いや歌詞の間違いを指摘出来て、どこで歌い始めるのか指示が出せて、オーケストラスコアも読めて、そしてそれを何の苦もなくピアノで弾くことが出来て、リハーサルをお休みした歌手がいたらその人のパートをピアノを弾きながら歌って、というような事ができる人たちです。普通のピアニストには絶ッッッっっっっっ対に出来ません。ええ、断言します。絶対、何がなんでも、地球がひっくり返っても出来ません。膨大な知識と言語力とスコアを読む能力と経験と勘とセンスが必要。
そんな職人さんたちを支えるピアノに、このたびヤマハが初めて選ばれたと。オペラハウスと初めてのコラボレーションだとか。
素晴らしいことではないですか。日本ではあまり知られていないとはいえ、英国ではよく知られたオペラハウスです。今後ヤマハが快進撃を見せるのか(ほかのオペラハウスとも契約をするようになるのか)、注視しようじゃないか兄弟。