トリフォノフの新しいレコーディングはリストの練習曲

Transcendentalと題されたダニール・トリフォノフの新しい録音はリストのコンサート用練習曲集の全曲だそうです。

トリフォノフは確実に力をつけていっていますね。世界トップのオーケストラと次々協演していますし、リサイタルもトップクラスのホールで開催している。

力をつけるとは何でしょうか。ピアノが上手くなること。もちろんそれもありますが、それ以外に、政治力もあります。芸術には政治は持ち込んではいけない!そんなものは大嫌いだ!と絶叫する方がおられますけれど、アーティストにも政治力は必要。政治が先行するのはまずいですが。

世界のトップを走る演奏家たちというのがいまして、彼らもまた若い頃、その上の世代にかわいがられ、引き上げられて世界トップになってきました。ゼロから全部自分一人の力で、という人はいません。ここに政治力が関わってきます。

指揮者がソリストとして認めてあちこちで自分の指揮するときに招待してあげること、これがソリストにとってどれほどキャリアアップの支援となることか。あるいは大きな音楽祭の主催者がOKを出して、音楽祭に出演させることで世界中からどれほど注目されるか。

こういった助けをうまく活用してピアニストは有名になり、成長していきます。さらに、トップの世界にいると「朱に交わって赤くなる」式に、才能は伸びて行きます(伸びない人もいる)。音楽的才能+政治力+運、これらがうまく混じり合った時に一流音楽家は生まれるのです。何と言うことでしょう!!

以上、うんちく終わり。

ジャケットだけを見るとTranscendental と書かれているので、超絶技巧練習曲の全曲だけかと一瞬思いますが、あれとかこれとかも入ってるのだろうと予想してよく見たら2CDと書かれています。何が含まれるか調べましたところ想像通り

超絶技巧練習曲
2つの演奏会用練習曲
3つの演奏会用練習曲
パガニーニ大練習曲

でした。私が見たのはiTunesのこのページ

超絶技巧練習曲は、腕に自信のある人が録音しますが、それ以外の練習曲「全曲」を採りあげる人はあまりいないかもしれませんね。ドイツ・グラモフォンからまとめてリリースされるのは初めてだそうです。単体での録音はそれこそ山のようにありますが、下3つの曲集をまとめてというのはあまりないか。特に演奏会で演奏される機会はさほどないかも。いや、あるかな?

技術的な難しさで言うと恐らく中の2つ(5曲)が少し楽。音楽的にもしっとりしていて快適。2つの演奏会用練習曲「森のささやき」とか「こびとの踊り」とか、人前では絶対に言わないけど超好きな曲です。ペライアのこのCDとか聞きまくった記憶がありますよなあ。

ペライアは超絶素晴らしいピアニストなんですが日本では人気がないのはどうしてでしょうね。アメリカ人だから?名前は知られているはずなのに東京では空席が目立つ。残念です。もっとペライアのコンサート行きましょう!トリフォノフの話題のはずが最後はペライアに。