21世紀の現代、ピアノにもいろいろな奏法がありまして、もう奏法は出尽くしたと思います。その出尽くした奏法を元に、どれほど現代の皆さんに訴えかける音楽が出来るのか、それが今を生きるピアニストたちの使命かな、と思います。
ピアノがピアノであることをやめた、それがプリペアド・ピアノだと言われることがあります。ピアノの弦に、ネジやナット、ゴムなどの異物を挟み込み、音質をまったく変えてしまう、というやつです。
これはきちんと準備しないとピアノを痛めるケースがあるため「プリペアド・ピアノの公演がしたい」などと言おうものなら、コンサートホールはかなり神経質に対応します。だいたいの場合はお断り、と帰ってきます。
そう、ピアノは超高額だから、下手にいじられて壊れちゃったら困るぜ、というスタンス。実に理解できる。
でも、せっかく内部奏法使えばいろいろおもしろい音が出るんだから、そういうのも使って楽しみたい、と思うのもまた人の子であります。
内部奏法で綺麗な曲を、と言われてまず浮かぶのはエオリアン・ハープです。アメリカの作曲家、ヘンリー・カウェルの「エオリアン・ハープ」という曲が私は断然好きですね。使うのは指。指で、弦をなぞるんですよ。音がでないように、指定された音符をそっと押さえておいて、特定の音のダンパーを上げておく。
そうしておいて、指で(グリッサンドみたいに)ピアノの弦の部分をシャラーン、と鳴らす。これがエオリアン・ハープ。よくわからん、という方のために、楽譜付きのYouTubeをご用意いたします。
どうやってるか、わかりましたかね?なるほどー、美しい、と思って頂けたのであれば、幸いに存じます。ただまあ、この演奏はちょっと辛口過ぎてロマンが足りない、かな・・・。
実際に生で聴くとこの曲、すごく綺麗なんですよ。小さな音でシャリーン、シャリーン、というので思わず聞き惚れてしまいます。
現代音楽なんか死んじまいー!!とか思っているそこのあなたにも全く問題なく受け入れて頂けること、請け合い。
ただし、この曲をコンサートで弾きたい、といってもピアノの所有者がGOと言ってくれるかどうかは不明。指でピアノをさわるぐらいなら大丈夫といえば大丈夫なんですが、でも指の油が弦に着くわけですから、少なくとも演奏後にちゃんと調律師に弦をきれいにしてもらう必要はあります。