大手の音楽事務所というのがあります。日本ではカジモト、ジャパン・アーツなどです。
もちろん、欧米にも巨大な音楽事務所がありまして、例えばAskonas Holt、IMG Artists、Harrisonparrott、Intermusica、Opus3 Artists、CAMI、などの名前が挙がります。だいたいロンドンとかニューヨークに拠点を構えています。
で、そこから独立していく人たちがいます。マネージャーさんが独立するんですよ。会社にいるとやりたいことが出来ない、とか、給料に不満、とか、まあ理由はいろいろでしょうが、独立していく。なので、大手以外にも無数の小さな音楽事務所がある。
で、彼らは独立するときにただ独立するわけではなくて、美容師さんが顧客を連れて行くように、アーティストを連れて出て行くんですよね。これは出て行かれる方にとっては痛手になることもあります(そうじゃないこともある)。なので、マネージャーが仮に独立しても、アーティストも付いて出て行かないように画策したりもしますが、そうは言ってもアーティストも人の子、会社よりもマネージャーの方を信頼して出て行くケースも多い。
クラシック音楽の世界も、きれい事だけでは回るわけもなく、冷酷なビジネスで回っているのですよ。出て行ったアーティストは、うまく登っていくこともありますし、干される、とか、そういう事ももちろんあるわけです。ま、いわば正解がない賭けなんですね。
ベアトリーチェ・ラナという、前回のヴァン・クライバーン国際コンクールで第2位に入ったイタリアの若い女性ピアニストがいます。
彼女はIMGアーティストに所属していましたが、Primo Artistsに移籍したというニュースを読みました。
Primo Artists
http://www.primoartists.com/uncategorized/beatrice-rana-signs-primo-artists-management/
Primo ArtistsはもとIMGのマネージャーが独立して作った事務所です。パールマンと共に出て行き、ニコラ・ベネデッティなどがいます。そこにベアトリーチェ・ラナも移籍したというわけ。
IMGはかなりの大手です。ヴァン・クライバーン国際コンクールとつながりがあり、コンクール優勝者などを引き受けたりしていますが、でも実際はコンクール出身のアーティストだれしもに仕事が作れているわけではない、という話は聞いたことがあります。
ベアトリーチェ・ラナも、新しい事務所に移った方がいい仕事が出来る、と判断したのでしょう。Primo Artistsとベアトリーチェ・ラナの今後の活躍に期待したい。
それではおやすみ。