キリル・ゲルシュタイン。主にアメリカを拠点として活躍するロシア/イスラエルのピアニストですが。
彼が最近、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を録音していることはご存知でしょうか。この協奏曲には3つのバージョンがあるそうですが、その原典版ともいえる1879年版を。
評判も良くて、ECHO賞2015を受賞。
ECHO賞2015のリストはここにあるよ。ゲルシュタインはこのPDFのリストのNo.28
http://www.echoklassik.de/fileadmin/echoklassik/upload/news/ECHO_Klassik_2015_Preistraeger_FINAL_150928.pdf
ゲルシュタインの主張によると、こちらの方がチャイコフスキーが本当に意図したのはこちらなのだそうで、実際にチャイコフスキー自身が死の直前まで指揮していたのもこの半なのだとか。
というようなことを書いたゲルシュタイン自身の論考がこのページにあります。ページの下の方に1879年版と、通常版の比較できる音源が貼り付けられています。聴けばすぐに「確かに違うな」と思われるでしょう。派手さが少ないですよ。現代の我々にしてみればおお、と興奮する要素が足りない。コショウが利いていないかな・・・?と思うわけです。
これをチャイコフスキーの意図から離れていると考えるかどうか、ということでしょう。ゲルシュタインはそう考えている。私は20年ぐらい前ラザール・ベルマンが来日した際にやはりこの原典版の実演に触れましたが、冒頭の和音が穏やかだったり、オクターブの乱れ打ち!が穏やかというか、おやさしコースだったりしたのを憶えていました。
そういうわけなので、なつかしいなと思いながら聞いていたわけですが、皆様はどうお考えになるでしょう。
・・・やっぱ最終稿の方がいいよね。