これはかなりクール!ピアノ2台で弾きわける月光の第3楽章

Googleアンドロイドの新しいプロモヴィデオ「Monotune」(=「単音」ぐらいの意味。映像は1分ちょっとの短さ!)がスーパークールでした。グランドピアノを2台使っています。演奏されるのはベートーヴェンの月光ソナタの第3楽章。早くて格好いい曲。

2台のピアノに仕掛けがあります。1台は普通のピアノ、もう1台は全部の音が全く同じ音に調律されたピアノ。同じ曲=ベートーヴェンの月光第三楽章2つのピアノで弾き分けているんですが、まあ観て下さい。一瞬で終わるし。(蛇足ですが、映像の最後に流れる音楽は同じベートーヴェンのピアノ・ソナタ第20番の第2楽章です)

Android: Monotune

メイキングビデオもありました(こちらも短くて5分ぐらい)。

Android: The Making of “Monotune”

全てを同じ音に調律するというのは普通のピアノでは実現できないので、ピアノの中のフレームを作りなおすところから始めています。弦の長さがすべて同じに出来るように改めて作りなおしている。

Be together. Not the sameというアンドロイドのキャッチコピーを強調するために作られたヴィデオ。これは直訳すれば、「一緒になろう、同じじゃなくて」ぐらいの意味で、同じように見えても人間一人一人は個性が違う。個性が違うから全体として輝けるんだ、という感じでしょうかね。

ピアノの場合もおなじ。鍵盤は黒鍵と白鍵、それぞれ同じ形をしているけれども、どの鍵盤も違う音がでる。だからこそピアノ音楽は輝くんだということですね。説明ったらしくて申し訳ありません。

実際に同じ音しか出ないピアノが出す音を聞くと、奇妙な感覚に襲われます。手は激しく違う場所を叩いているのに!!これは・・・面白い!!

弾く方はかなり大変だったと思いますよ。どこを叩いても同じ音が出るから。ピアニストは経験でどこの鍵盤を押せばどんな音が出るか身体が覚えているから、どれも同じ音だと頭が混乱します。同音ピアノの方で楽譜通りの場所で弾けるようになるまで、けっこう時間がかかったと思いますよ。

ピアニストはアジア系。タトゥーが腕に入っていたりなんかして、面白いな誰だこれ、と思って調べましたところ、Ji-Yong Kim という20台半ばの韓国人ピアニストでした。アメリカでJiの名前で活動しているようです。アメリカのYCAのサイトに名前があります。そうかYCAか。

YCAはYoung Concert Artistsの訳で、どう説明したらいいのでしょう、音楽事務所ではないんですが、若いアーティストを世の中に出す支援をしている人たちですよ。で、このJiはジュリアード音楽院でチュンモ・カンに習ったそうです。チュンモ・カンは韓国人ピアニストでは知らない人はいないんじゃないでしょうか。いい教育者ですよね。優しくて超いい人です。

ピアニストJiはこれをきっかけに有名になるかもね!!

英語ですが、Jiプロフィールと写真何枚かは以下YCAのURLに:
http://www.yca.org/roster/ji/